アップルウォッチの販売開始を前に、アップルは競合するウェアラブル製品の締め出しに取り掛かったようだ。
ニュースサイト「Re/code」が報じたところによると、以前はアップルストアで販売されていたJawbone UpやNike+ FuelBandなどのリストバンド製品の販売が停止された模様。また、心拍計つきスポーツ腕時計のMioも現在はオンラインのみでの販売となっている。
アップルは昨年9月にアップルウォッチの登場を予告した直後、フィットネストラッカーのFitbitの販売を停止した。Jawboneのクリップ型の歩数計は今も販売しているが、この製品は腕につけるものではないため、アップルウォッチの競合とはみなされないのだろう。
ただし、アップルストアからの追放はメーカーにとってさほどの痛手ではないとの声もある。MioのCEOがRe/codeに語ったところによると、アップルでの販売は同社のブランディングには貢献したが、実際の販売台数は大したものではなかったという。
とはいうものの、アップルウォッチの登場により、ウェアラブル業界には大きな変化がもたらされ、今よりもっとメインストリームの分野になると期待されている。
Strategy Analytics社の予測によるとアップルは2015年に1500万台のアップルウォッチを出荷すると見られるが、これは同年に出荷されるスマートウォッチ、2800万台の半分以上の台数となる。調査会社のForrester Research社も、その販売台数を1000万台と予測している。
Fitbit社は昨年秋に販売を開始したフィットネス用時計「Fitbit Surge」で、これまで以上にスマートウォッチ寄りのアプローチを強化している。Fitbit Surgeはスマートフォンと連携し、通知を画面上に表示可能。心拍トラッカーも内蔵し、そのバッテリーは7日間も持続する。アップルウォッチのバッテリーがわずか18時間なのに比べれば、雲泥の差と言えそうだ。
現状で米国のフィットネストラッカー市場で最大のシェアを持つFitbitにとって、アップルウォッチはさほどの脅威ではないのかもしれない。
「今のところスマートウォッチが一体何の役に立つのか、誰も決定的な答えを見いだせていない。誰がそれを見つけるかと問われれば、それがアップルだと思う」
Fitbit社のCEO、ジェームス・パーク氏は今年1月のCESで筆者にそう語ってくれた。
「けれども、価格の点では一般的な消費者にはまだまだ高すぎるのが現状。スマートウォッチがiOSのエコシステムに限定されてしまうのも、また別の問題を生むだろう。今後はアップルウォッチ以外のスマートウォッチにも十分なチャンスがある。消費者にとって選択の幅が広がるのはいいことだ」と、ジェームス氏は余裕たっぷりに付け加えてくれた。