「ブライトリングには、豊かな歴史や価値がある。そこを変える必要はない。しかしブランドを前進させるには、マーケティングや組織といった経営分野を変える必要があった。いうなればブライトリングをリ・パッケージするのが私の役目なのです。もちろん批判もありましたが、全員を喜ばせることは無理なのです。かつてポルシェがSUVやハッチバックセダンをつくるといったとき、みんなが反対しました。しかしカイエンもパナメーラも大成功し、ブランド価値も上がった。私はブライトリングも同じことができると考えています」
新たなアンバサダーとして、ブラッド・ピットら映画スターを起用。さらに過去のアーカイブを参照したエレガントなコレクション「プレミエ」をスタートさせ、従来の武骨なイメージにエレガントさを加えることに成功した。さらに躍進のカギとして、中国市場の開拓に力を入れている。
「中国の若者は“親世代とは違う時計を持ちたい”という意識が強い。そこで中国市場では、デジタルマーケティングに力を入れています。その結果、ブライトリングが新しい挑戦をするブランドとして認知されるようになっているのです」
歴史的なブランドも、対象となる層が変われば“新しい”。こういった現象に対して柔軟に対応することこそが、新たなファン獲得につながる。 「注目しているのはトライアスロン。競技者の平均年収が比較的高いスポーツだと言われていますし、こういったジャンルに進出することで、新しいコミュニティーとつながることができるのです」
すべてが理論的。それこそが新生ブライトリングの、新たな強みとなるのかもしれない。