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テクノロジーと人間のつきあい方の革新をテーマにウェアラブル業界に参戦したVELDT野々上仁。苦難の体験にも屈することなく前進を続ける野々上が目指すもの、そして挑戦者としての情熱の源に迫る。


「独立して事業を始めたとき、“どうしてスマートウォッチなんか作るんだ?”と馬鹿にされたものです」  

そう語るのは2012年に始動したウェアラブルブランド「VELDT(ヴェルト)」代表取締役CEOの野々上仁。スマートウォッチ開発、そこで得たIoT製品の知見をもとにIoTプロジェクトのコンサルティングやIoT回路やソフトウェアを提供する。2018年5月にはシリコンバレーに100%子会社のVELDT USAを設立。同12月にはVELDTの次世代スマートウォッチ「VELDT LUXTURE」のサンプル出荷を開始予定。もうすぐ商用の出荷も始まる。歩みは順風満帆のようにも思える。

「決してそんなことはありませんでした。手がけることがハードウェアからクラウドまで幅広く、とにかく開発資金が必要で。自分の誤りを認めてお金を捨てる決断を何回もしました。死なない程度の失敗の可能性は常に受け入れて前に進んできたからです」
 
IT業界に馴染みのある人であれば、サン・マイクロシステムズの野々上仁を想起する向きは多いはずだ。90年代のインターネット黎明期からその可能性を伝えるトップランナーとして活躍し、やがて自らの事業を展開してきた野々上の経歴は一見華やかだ。


「ずっしりとしたステアリングの手応えから、走りを追求する本格派であることを感じる」と野々上。

「日本人最年少で役員になった瞬間、会社がオラクルに買収されることが発表されました。役員になれましたが、その先にあったことは会社の後始末でした。社員を半分にすること、製品が続くか不安を感じる顧客をフォローすること。軍隊が後退するときの“しんがり”のような苦しい役割です。自分が辞めれば部下も辞め、顧客も離れてしまう可能性があった。逃げるわけにはいきませんでした」
 
役割を果たして退職し、独立するまで2年。ウェアラブルに野々上が見出したものとは?

「スマートウォッチとして機能を売りたいのではなく、考え方を伝えたいのです。いまGDPRの流れが出てきているように、これからの時代は個人ユーザーの情報が一部企業の利益のために使われるのではなく、ひとりひとり違う個人に対して還元されなければいけません。そして個人もまたSNSで“いいね”をもらうことよりも自分らしく過ごすことに心を配って欲しい。いつでもつけていられる腕時計等に特別な機能があることで、自分の生活の中でストレスがなくなり健康やパフォーマンスを生み出す。それがこのデジタル時代の美学としてのVELDTの考え方です」


野々上の手首には開発中の新しいスマートウォッチ「VELDT LUXTURE」。
 
人と違う視点でものを見て、そんな考えもありだねと共感されることに野々上は挑んでいる。そのために「まだ内容を詳しく話せないのですが」と断りながらも、近々大きな動きを発表するという。
 
この日、野々上が乗ってきたクルマ、John Cooper Works。ジョン・クーパーとは世界のモータースポーツを一変させた伝説のエンジニアであり、その名を冠する、MINIのハイパフォーマンスモデルだ。かつてジョン・クーパーは、大排気量車がパワーを競うレースの世界に、街を走る乗用車だったMINIに可能性を見出し、モンテカルロ・ラリーに参戦。新聞では「夢は大きいが、可能性は少ない」と酷評されたが結果は優勝。やがてMINIはレースでの栄光を積み重ねてゆく。そんな逸話を聞いた野々上は目を輝かせた。

「素晴らしいエピソードですね。私もVELDTの創業時を思い返せば、新しいことを始めるときの周囲の反応はよくわかります。しかし、いま成功しているものに乗っていくのではなく、新しい視点から新しいものを生み出し、巨人を倒すことこそ面白い。それは私の信条でもありますし、ジョン・クーパーさんの挑戦には強い共感をおぼえます」


モータースポーツの世界で数々の成功を収めたジョン・クーパーはただ一人のエンジニアであることにとどまらず、レース界の常識を打ち破ったゲーム・チェンジャーにしてビジョナリー。モンテカルロ・ラリーだけでなくF1やインディ500といった世界最高峰のレースをクーパー社のマシンが席巻。JohnCooper Worksにあしらわれたこのエンブレムは、MINIの中でも最高峰のドライビングとジョン・クーパーの魂が込められている証だ。


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