米富豪の学生ローン肩代わりを批判 NYタイムズの的外れな主張

ロバート・スミス(Photo by Marcus Ingram/Getty Images)


スミスによる寄付については、その重要性を軽視したり、その資金の一部を他の歴史的黒人大学(HBCU=アフリカ系米国人のために設立された大学)に贈るべきだったと難癖をつけたりするのではなく、慈善活動の枠を大学進学が困難な低・中所得家庭の学生に対する支援のために拡大できる例として捉えるべきだ。

スミスの一度限りの寄付金は、学生が抱える借金を大幅には減らせないが、各大学でこの目的に焦点を当てた慈善活動が行われれば、それは可能かもしれない。全米の大学学長が、寄付者らを説得して数十億ドルの寄付を集め、それが屋内のアメリカンフットボール練習施設や学生用レクリエーション施設での流れるプール建設ではなく、経済状況が厳しい学生向けの奨学金に充てられたとしたらどうだろう?

こうした奨学金は、学生ローン問題を2つの方法で解決することができる。1つ目は、学生が大学関連の費用に必要な額以上は借りないことを条件にすること。2つ目に、学生の在学中に毎年給付額を増やし、卒業までやり抜く励みとすることだ。

億万長者はさまざまな方法で自分の資産を使うことができる。大金をため込むもできるし、さらに金儲けをするために投資することもできる。赤字のゴルフコースに金を費やすこともできれば、8000万ドル(約88億円)のうさぎの彫刻を買うこともできる。

あるいは、ロバート・スミスやマイケル・ブルームバーグのように、貧しい学生が大学に通えるよう寄付することもできる。彼らが富を築けたのは、改正されるべき法律上の利点や金融規則が一因だったのかもしれない。これらについての改革は進めるべきだ。しかしその間は、彼らの並外れた寛大さにただ感謝し、他の人々が追従することを願ったとしても、自らの信条の多くを曲げることにはならないだろう。それはニューヨーク・タイムズ紙を含め、誰にも言えることだ。

編集=遠藤宗生

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