Cレベルの無能
株主たちが企業のCEOに対する高額の報酬を認めるのは、「熟慮した上での質の高い決断が下され、会社に利益がもたらされる」ことを期待するからだ。だが、そうした報酬の多くが、期待された結果につながっていないことは明らかだ。CEOたちの就任を承認した取締役会も、良い選択ができていないのだと考えられる。
そのような企業の株を買う人たちがいるのは、なぜなのだろうか?恐らく多くの人が、値上がりの可能性しか気にしていないからだろう。ただ、たとえ株価が上昇したとしても、それが好調な事業のおかげではなく、借金をして自社株を買い戻したからだったとすれば、長期的な利益が得られるわけではないはずだ。
重大な問題
フォーブスの寄稿者ジョン・モールディンは、わずかな数の企業が経済のあらゆる部門を支配していることは重大な問題だとして、次のように指摘している。
「…通常の状態であれば、企業は競合他社よりも低価格でより良い製品を提供することで、利益を増やす。これは、競合する各社のいずれかが脱落し、新たな競争相手が登場し続けるというダイナミックなプロセスだ。経済学者のヨーゼフ・シュンペーターは、これを“創造的破壊”と呼んだ。とげのある言葉だが、経済成長には不可欠なものだ」
「だが、ゾンビ企業が死ぬことを拒み、独占企業が改善を拒む現在、そうした創造的破壊はわずかしか起きておらず、緩やかな経済成長の実現さえもが困難になっている。これらの事実の間には、関連性があると考えられる」
確かに、これらは互いに結び付いている。そうだとすれば、企業の汚職や無能さの問題は、私たち全てにとっての問題であるということになる。
問題の一部は、企業の規模がもたらした結果でもあるだろう。大企業はあまりにも巨大になり、あまりにも多くのことに関わっている。そのため実際には誰も、その企業に責任を負わなくなっている。
──企業がおかしな事をするのも、不思議ではない。