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2019.05.29 11:00

急伸する中国「コスメ業界」のマーケティング、3大トレンド

Sorbis / shutterstock.com

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中国のeコマース市場は世界最大で、調査企業eMarketerによると2019年には売り上げがアメリカの6000億ドルの3倍以上の2兆ドル(約221兆円)に達する見込みだ。中国のeコマースが好調な理由の一因はコスメ業界にある。

市場調査会社KantarがアリババのTモールの売上を分析した結果、コスメ、スキンケア、パーソナルケアに関する商品の過去12か月の売上の伸び率はそれぞれ46%、40%、37%で、全プロダクトの平均の34%を上回っていた。

ここでは各ブランドが中国で導入している3つのマーケティング戦略を紹介する。

共同ブランディング

老舗ブランドは新興ブランドと共同プロモーションを行うことで、売上を伸ばしている。メイベリンがタッグを組んだのは、キーオピニオンリーダー(KOL)の1人で31歳の張大奕が立ち上げたビューティーブランド「BigEve」だ。

この取り組みでメイベリンは4種類のリップスティックを発売。Z世代の都会の女性が大半を占めるBigEveのウェイボー(微博)のフォロワー1100万人にヒットし、発売から3か月で11万4000ドルの売上を記録した。

3つ以上のブランドによる共同ブランディングもある。アジア最大のドラッグストア「ワトソンズ」はアプリ「163 Music」とリアリティ番組「偶像練習生」とコラボし、音楽をテーマに掲げた6つのメイクアップ製品を発表した。

ワトソンズが開催したイベントでは有名アイドルがパフォーマンスを行い、参加者にはアプリの楽曲を口ずさんでもらい、さらにメイクアップのサービスも提供した。イベント開催中はバイドゥでのワトソンズの検索が2倍に増えた。

IPマーケティング

IP(知的財産)マーケティングには映画や小説、アニメなどとコラボしたオリジナルコンテンツが含まれる。ロレアル・メンは映画「アベンジャーズ/エンドゲーム」の中国公開に合わせて限定商品を発売した。

WeChat やウェイボー、Tik TokなどのSNSでのプロモーションに加え、大型映画館にポップアップストアを設置し、チケット販売サイトでプロモーションを実施した。その結果、Tモールでは映画公開中に10万個以上の限定商品が売れた。

また、ロレアルはテレビ番組「National Treasure」とタイアップし、古代中国をイメージしたカラーのリップスティックを発売した。中国で売上2位の美容ブランド「Chando(自然堂)」はオンラインゲーム「クロスファイア」と組んで、ゲーム内に男性用スキンケア商品を登場させた。

クロスカテゴリ・マーケティング

クロスカテゴリ・マーケティングとは、ブランドがアートや文化のイベントとコラボすることだ。多くのブランドが博物館などとタイアップした限定商品を発表している。

ここ2年で売り上げを急増させた中国のコスメブランド「Perfect Diary」は大英博物館とコラボし、暖色系と寒色系の2種類のアイシャドウを発売した。イタリアのルネッサンス期に発祥したマヨリカ陶器から着想を得た、イヤリングも付属させた。

さらに、インフルエンサーを起用した記事や動画も配信した結果、キャンペーン商品はTモールでトップ10に入り、独身の日のセール期間には130万ドル(約1億4400万円)の売上を記録した。

中国のコスメ市場は常に進化しており、消費者の注目を集めるには新たなアプローチが必要だ。消費者は商品にストーリーを求めるため、サードパーティーとコラボし、文化的トレンドを最大限に活用して、限定商品を開発する必要がある。

編集=上田裕資

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