海外各メディアが報じたところによれば、エア・カナダCEOのCalin Rovinescu氏はビッグデータとAIが同社、また同業種のビジネスを形成する大きなファクターになったと強調。その一例として「ボーイング787ドリームライナー」など航空機の「予測整備」を挙げた。通常の点検や定期点検に加え、稼働が少ない航空機の“まだ壊れていない部品”をメンテナンスする用途でAIを用いることができるというのだ。
日本でも、工場の生産設備などのダウンタイムを軽減するため、「故障予知」に人工知能が活用されつつあるが、エア・カナダでは航空機にそのユースケースの応用を試みていることになる。のみならず、故障予知AIを使うことは、墜落による人命リスクを回避することにも繋がるだろう。
航空機の予測整備は、AIによる「人命保護」という文脈でも特筆すべきユースケースのひとつになるかもしれない。加えて、エア・カナダでは、新しいロイヤリティプログラム(利用客への特典)などの開発にも、ビックデータと人工知能を活用していきたいとしている。
上記の話題の背景には、航空機とその運用、また航空会社のサービス全体には膨大なデータが存在し、それらを上手く処理することが競争力に繋がるという事実がある。例えば、「ボーイング787ドリームライナー」は一回の飛行中に500GB以上のデータを生成するという。それら飛行データに加え、航路や食事の好み、年齢、性別、健康状況、家族関係、職種など膨大な顧客データ量を保有していると考え合わせれば、その有効活用が「ビジネスを形成する大きなファクター」であるというCEOの指摘は正しいのだろう。
エア・カナダは今後、3年以内にカナダにおいてAI関連の事業主、また5年以内に関連機関で研究・開発されたAIを活用して、グローバル航空業界内で競争力を確保していく計画である。
CoEはその出発地点における最初の施策で、大学および研究者と連携した、ビジネス、データ科学およびデータエンジニアなどAI専門家たちが集うラボとなる。企業全体にAIを導入するだけでなく、既存の問題に新たな考え方を融合することもCoEの目的のひとつだ。
AI通信「こんなとこにも人工知能」
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