シノプシス(Synopsys)のIAST製品管理担当シニアマネージャー、アスマ・ズベアは「サンフランシスコ市当局は、顔認識技術の禁止によってポジティブな前例を作ろうとしている」と言う。
「これは良いスタートだが、民間部門では顔認識技術の使用は今後広がり続けることも認識しておかねばならない。この技術は近年、大きく進化しているものの、特定のグループの人々を認識する上での弱みがあることも知られている」
「顔認識技術の応用範囲が広がるに従い、未編集の録画映像がより利用しやすくなり、バイオメトリック(生体)情報や個人識別情報などの構造化データが検索可能なフォーマット(例えば名前、場所、時間、日付)で保存されるようになるだろう。この構造化データは一定期間保持され、情報漏洩や悪用が起きやすくなるかもしれない。個人情報の漏洩は度々メディアを賑わせており、組織側は顔認識技術を安全かつ安心に、責任を持って扱う準備ができていないことは明らかだ」
そんな中で希望の光は、活発な議論や一定の行動が見られること。これは、あっという間に制御不能な状態に陥ったソーシャルメディアとは対極的だ。
トラストアーク(TrustArc)のヒラリー・ワンドール上級副社長(プライバシー情報担当)は「顔認識技術は、アルゴリズムの透明性と完全性を巡るより広い倫理的・法的な議論の一部だ。これには、個人に大きな影響を及ぼす可能性があるアルゴリズムのアウトプット検証における人による介入の役割をめぐる議論が含まれる」と指摘する。