ビジネス

2019.05.26

食べながら学ぶ ベトナムのピザ屋に世界のメディアが殺到する理由

ピザのワークショップを通して、食の背景を学ぶ子どもたち。


サステナビリティを経営の根幹に据えるにあたり改めて思い出したいのは、「Leave no one behind / 地球上の誰一人として取り残さない未来」という2030年までに世界共通で目指すゴール。ビジネスは、その未来に辿り着くために社会課題を解決する手段として存在し、企業のパーパスは自ずとそれに紐づくでしょう。

では、その目標に直結するような「Make the World Smile for Peace」という包括的ビジョンを掲げるPizza 4P’sは、自社の存在意義をどのように捉えているのでしょうか。

「Pizza 4P’sが最終的にコミットしたいのは、心の在り方、インナーピース(内なる平和)です。僕たちが行っているさまざまな取り組みは、その目的にたどり着くための道筋でしかありません。自分が幸せでなければ、目の前にいる人を幸せにすることはできない。さらに、目の前にいる人を幸せにできなければ、その隣にいる人も幸せにすることはできません。世界に溢れるあらゆる社会課題は、自分自身や周りの人たちの心が満たされて初めて解決されると考えています」

そのうえで、「食体験」はカギになると益子氏は言います。「“美味しい”食体験は人の心を動かし、ポジティブなエナジーを引き出してくれます。Pizza 4P’sの存在意義は、食から感動を届け、幸せを共有する場を提供していくこと。“美味しい”から多くの人のインナーピースを導くことで、笑顔と平和の絶えない世界を創造していきたいと思います」

常にものごとの奥底にある本質を見据えて道を描く、Pizza 4P’s。広く大きなゴールを目指すからこそ、根源的なものを見つめ直す必要があるでしょう。何のために自らが存在するのか、何のためのビジネスなのか。パーパス策定における内省は、企業の根源にある精神性を引き出し、持続可能なビジネスを加速させるトリガーになるのではないでしょうか。



益子陽介◎大学卒業後、商社、サイバーエージェントを経て、ベトナム ホーチミンにPizza4P’sを設立。同店を世界から注目を集める人気店へと成長させた。今後、日本を含めた世界中での展開を計画している。2018年、東京ニュービジネス協議会の海外アントレプレナー賞 最優秀賞を受賞。

文=佐藤祥子

ForbesBrandVoice

人気記事