そんな問いがビジネスの現場で交わされるようになったのは、必然の流れでしょう。
SDGs(持続可能な開発目標)採択を契機として、企業の環境、社会、ガバナンスの取り組みレベルを重視するESG投資額は、世界全体で直近2年間に34%増加。サステナビリティブランドに多くお金をかけても良いと考える消費者は、66%にまで上ります(参照:Global Sustainable Investment Review/Nielsen Global Sustainability Report)。
自社の利益のためだけに価値を創造するビジネスは終わりを迎え、社会全体に対してどのような価値を創造できるのかを、企業は問われているのです。
そんな利他の時代に、ForbesやBBC、ニューヨーク・タイムズなど世界のメディアから取材が殺到し、予約を取るのも困難な日本人起業家のレストランがあります。益子陽介・早苗夫妻が経営する「Pizza 4P’s(ピザフォーピース)」。店を構えるのはベトナムです。
「Make the World Smile for Peace」という壮大なビジョンを掲げた彼らの勢いは止まるところを知らず、先日ホーチミンに11店舗目となる新店舗をオープン。Pizza 4P’sのいったい何が、これほどまで多くの人を惹きつけるのでしょう。代表の益子陽介氏が考えるパーパスを聞きました。
サステナビリティを学べるピザレストラン
2011年、ベトナム・ホーチミンでのオープンを皮切りに、ハノイ、ダナンで現在11店舗を展開するPizza 4P’s。ベトナム中部の高原地帯ダラット産の自家製チーズとオーガニック野菜を使ったピザレストランとして人気を集め、ネット上には熱量溢れる口コミが並びます。
そんな同店が、ホーチミンの高感度エリアとして注目される2区にオープンしたのは、“Edutainment(エデュテインメント、教育となる娯楽)”がコンセプトの体験型レストラン。梯子を組み合わせたようなユニークな建物に、菜園や池、木々が並び、フィールドアスレチックを彷彿とさせる店内では、楽しく遊びながらサステナビリティを学ぶことができます。
ベトナム・ホーチミンに新たにオープンした「Pizza 4P’s Xuan Thuy」
「Edutainmentというキーワードは、起業時から頭にありました。サステナビリティや社会課題と言うと堅苦しくて敬遠されがちですが、エンターテインメント性を加えてポジティブにアプローチすることで知識欲を刺激し、学びに繋げることができます。僕たちは、レストランという場を通して一人でも多くの人に学びの機会を提供し、人や社会、環境がより良い方向にむかっていくことを願っています」
従来店舗でもサステナブルな取り組みを行ってきたPizza 4P’sが、同店で新たに取り入れたのは、地球に優しい循環型農業として注目されるアクアポニックス。店舗から出る食料廃棄物をミミズコンポストで堆肥化し、その堆肥を利用して店内で野菜を育てています。
さらに、食料廃棄物を食べて育ったミミズは池の魚にエサとして与え、魚から排出される糞尿はろ過して野菜の養分に。そして、育った野菜を店舗メニューに使用することで、ゼロウエイスト、フードマイレージゼロの実現はもちろん、食事を通してこのエコシステムの一部になる体験をゲストに提供しています。