ビジネス

2019.05.22

1人ではなく、3人で。FIREBUGがテックとの掛け合わせで狙う、個の時代の「エンタメ」とは何か

創業者の佐藤詳悟


佐藤1人から、3人の「連合」としての再スタート

10年勤めた吉本興業ではナインティナイン、ロンドンブーツ1号2号などのマネージャーを経験した佐藤。マネージャー業を続けるうちに、0→1の仕事よりも1を100にする仕事が向いている、より多くの0→1の人のお手伝いをしたいと思い独立、起業した。

「インターネットをはじめ、変化が激しい時代にせっかくエンタメの領域に入ったのだから、今までのエンタメを新しい形にしていきたいなと思ったんです。しかし僕一人ではインターネットやテクノロジーへの知識がない。そして僕一人がこの会社の方向性を全部決めていっても成長の規模は頭打ちになってしまう。そこで中川さんにエンジェル投資家として投資していただいていたこともあり、事業の壁打ちを去年の夏からお願いしていました」(佐藤)

宮崎と出会ったのもちょうど同じ頃、中川からの紹介だった。その頃の宮崎はサイバーエージェントをすでに退職し、中川のオフィスを借りて個人として仕事をしていたという。
「次は何をやろうかと考えていたとき、コンテンツ系の事業をやりたいと思いながら個人で活動していました。ちょうど佐藤が中川さんのオフィスで事業の壁打ちをしているとき、中川さんから『一緒に壁打ちに入ってもらえませんか』と誘われたんです。

佐藤さんとはもともとコミュニティが近く、FIREBUGの名前ももちろん知っていました。そこで初めて顔を合わせることになり、事業の壁打ちに参加するようになったんです。当初は2週間に1回の頻度でしたが、FIREBUGの方向性は僕がやりたかった事業の方向性とも合致しており、気づいたら毎日会うようになっていました」(宮崎)

MERY時代から変わらず、個人が情報発信する方法やインターネットでものを売ることにこだわり続ける中川。佐藤の事業も、個人の情報発信につながると感じて投資の話を持ちかけたという。その頃はまだ純粋なエンジェル投資家と投資先という関係だった。


社外取締役の中川綾太郎

「FIREBUGのビジョンに共感しており、個人の相性としても佐藤さんが好きでした。ただ投資先として見た時に、確かに伸びてはいるけれどせっかくなら佐藤さんがもっとやりたいことができるフェーズに移って、もっと大きく勝負したほうが面白いんじゃないかと話していたんです。

僕がスタートアップの投資先を見ていていると、ギアが一気に変わるタイミングがあります。それは一定のサイズで経営権がある人が入社するタイミングなんです。メガベンチャーの役員クラスがジョインすることはかなり象徴的なことだと思います」(中川)
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文=大木一真 写真=小田駿一

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