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ミシェル・オバマの回顧録「Becoming(ビカミング)」

昨年11月に刊行されたバラク・オバマ元大統領夫人、ミシェル・オバマの回顧録「Becoming(ビカミング)」が、全世界で1000万部以上売れている。

英国BBCによると、本書の版元「ペンギン・ランダムハウス」の株式を75%保有するドイツのベルテルスマン社は、オバマ元大統領の回顧録とセットで、2人に先払い原稿料6000万ドル(約67億円)を支払ったという。「『Becoming』は出版史上もっとも売れた回顧録となると思う」。トーマス・レイブ、ベルテルスマン社チーフエグゼクティブはコメントしている。

英紙「ガーディアン」も、「これは文学史における『現象』である」と報じた。

オバマ元大統領も昨年末、フェイスブックで、今年読んだ本(「Obviously my favorite(もちろん私のお気に入りの1冊)」の注釈つき)に妻の本を挙げている。

ミシェル・オバマの人気は本書刊行前からすでに不動で、たとえばツイッターのフォロワーは実に1220万(前任のファーストレディーであるローラ・ブッシュのフォロワーは27万8000)。今年2月のグラミー賞授賞式のステージにはレディー・ガガとジェニファー・ロペスと手をつないでサプライズで登場し、総立ちで歓声を送るオーディエンスに「音楽は、自分の物語を紡ぐのにいつも力を貸してくれました」とスピーチした。


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ガーディアン紙によると、ヒラリー・クリントンのスピーチライターを務めたリサ・マスカティーンは、「彼女は今やロックスター。政界のセレブね」とコメント。また同紙は、「トランプが政権を取って久しい昨今、『あの夫婦がホワイトハウスに住んでいた頃』を懐かしく思うムードが世界に蔓延していることも、本書が記録的ベストセラーとなっている理由の一つ」とも書く。

ヒラリー・クリントンは22%、ミシェル・オバマは65%

ファーストレディーによる自伝として、本書は異例に「ホワイトハウス前の人生」が長いようだ。

たとえば、オバマ夫人の前のファーストレディーの著書『ローラ・ブッシュ自伝:脚光の舞台裏』は、489ページ中、夫の大統領就任まで、つまり「ホワイトハウス前」が184ページで、全体の38%だ。

『リビング・ヒストリー:ヒラリー・ロダム・クリントン自伝』にいたっては721ページ中、157ページ目の章タイトルがすでに「大統領就任式」。「ホワイトハウス前」が全体の22%にすぎない。

では『Becoming』は? 筆者が聴いたオーディブル版(音声ブック)の録音時間19時間3分中、「夫の大統領就任まで」は12時間22分。「ホワイトハウス前」が実に65%にもなる。

著者は、大統領選出馬前の夫がワシントンDCに勤務するようになっても、自分の仕事をやめず、子どもたちとシカゴに住み続ける(そのために政治家夫人からの「サロンへの誘い」も断るが、これは前代未聞のことだったらしい)が、本書の構成からも、夫やホワイトハウスが「あってもなくても自分、それが私」の声が聞こえてくるようだ。

文=石井節子

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