ツイッターの取締役で、旅行サイトlastminute.comの共同創業者のマーサ・レーン・フォックスが設立したシンクタンク「Doteveryone」が公開した調査結果で、この事実が明るみに出た。英国でAI関連の業務を手がけるエンジニアの59%が、この技術が今後、社会に悪影響を与えることを危惧しているという。
「ピープル、パワー&テクノロジー」と題されたレポートは、AI領域で働く人々が、一般のエンジニアたちよりもずっと高い割合で、AIの脅威を感じていることを示している。
1000人以上の英国のエンジニアを対象とした調査で、AI関連の技術者の4人に1人以上が、仕事を離れるべきか悩んだ経験を持つことが分かった。Doteveryoneによると、調査は匿名で実施されたため、特定の企業名をあげることはできないという。
「人工知能領域においては、優れた知見を持つ多くの人々が社会への悪影響を懸念し、離職することを考えている」とフォックスは述べた。
AIは非常にパワフルな技術だが、活用の仕方次第で社会を良い方向にも悪い方向にも変えられる。AIが新薬を発見し、病気の人を助けることも出来るし、自動化されたロボット兵器が人の命を奪う場合もある。
英国では米国ほど大きな反発は起きていないが、シリコンバレーではグーグルの社員が抗議デモを行い、同社のAI技術の軍事目的での利用を中止させた。
彼らはグーグルのコンピュータビジョン技術が、ドローンによる軍事攻撃に利用されることを重大な脅威と考えた。軍事面に限らず、AIが人々の監視に用いられ、人種や性別に根ざす差別を拡大する懸念も生じている。
英国は欧州のなかでもAI関連の優秀な人材が豊富なことで知られる。グーグルやアップル、アマゾンやフェイスブックらは、ロンドンやケンブリッジの拠点で、多くのAIエンジニアを採用している。