仕事がデキるハイパフォーマーに共通する「睡眠の法則」

Getty Images


違い2:起床時間は一定?

Aを見ると、平日は出社時間が決まっているので、起きる時間も一定になっていますが、土日は極端に後ろにずれ込んでいます。いわゆる週末の二度寝や寝だめです。一方、Bでは、平日も休日も起床時間はほぼ一定になっています。

ニューロスペースが行った睡眠負債実態調査でも、理想とする睡眠時間と現実では、1時間から2時間の差があることがわかっており、多くのビジネスパーソンは慢性的に睡眠が足りていない状態にあります。

睡眠時間が足りていないと、仕事のない休日にたくさん寝ようとするのはあたりまえのことです。しかし、起床時間を大幅に遅らせた休日の生活は、翌月曜日に倦怠感を残してしまいます。

私たちの体内時計は、起床して光を浴び始めたタイミングからスタートをするため、週末の寝だめは体内時計を後退させてしまい、月曜日には身体はまだ寝ているのだけれど起きなければならないという、いわゆる“ブルーマンデー”を誘発させます。

違い3:仮眠の活用

Aは、午後に眠気を感じつつも、睡眠はしていません。ところがBは、眠気が来る前に積極的に仮眠をしています。実は、仮眠は午後の生産性をあげるためにとても有効な手段。一例ですが、三菱地所では、仮眠が集中力とパフォーマンスに与える影響を実証実験しているということです。



スペインなどラテン系の国では、昼食後に午睡をとる“シエスタ”という習慣があり、眠いときに戦略的に仮眠をとるのが文化になっています。

また、日本では眠いときにカフェインを摂取することが当たり前となっていますが、カフェインは睡眠誘発物質が脳に作用するのをブロックしているだけであり、眠気の根本原因は解消されないので、無意識のパフォーマンス低下やケアレスミスなどが起きやすくなってしまいます。根本的な解決には、仮眠をするのがベストなのです。

違い4:本睡眠の前はできる限り眠らない

Aは、朝の7時から9時の間、そして夜の21時付近、ベッドではないところで寝ていますが、この場所はわかりますか?

答えは、電車の中です。とくに帰宅時の電車の中などでの居眠りは、夜の本睡眠に悪影響を及ぼします。私たちの睡眠はバネの原理にも似ており、起きている時間が多いほど、眠るための力(睡眠の恒常性、睡眠圧力ともいわれます)は蓄積するからです。

心地よく寝つき、深い眠りを得るためには、この睡眠圧力が必要になります。しかし、帰りの電車の中や、帰宅して夕食後にソファーなどで寝てしまうことにより、この力が減少。バネの力が弱くなり、本睡眠がままならず、翌日のパフォーマンスに悪影響を及ぼしてしまうのです。

これを解消するためには、できる限り本睡眠の前(個人差はあるが少なくとも6時間前くらいから)は眠らないようにすることが大切です。帰宅時などに眠くならないようにするためには、「違い3」のように積極的な仮眠を活用することも効果的です。



良い仕事は、良い睡眠から。「ちゃんと寝ているのに日中眠い」「寝ても疲れがとれず、仕事がはかどらない」という人は、Bのハイパフォーマービジネスパーソンの睡眠に近くよう、紹介した4つの違いを意識してみてください。

連載:「睡眠」をアップデート
過去記事はこちら>>

文=小林孝徳

ForbesBrandVoice

人気記事