地球を襲った5回の「大量絶滅」と人類の未来への警告

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地球の歴史が始まって以来、誕生した生物の99%が絶滅している。生命の歴史において絶滅は不可避であり、種の絶滅は常に起きている。ある種が絶滅して空いた穴は自然淘汰によって、生き残った生物や新たに誕生した生物が埋める。

一方で大量絶滅が起こった場合には、短期間に生物の多様性を大きく損なう規模の絶滅が起こり、新たに誕生する生物によってもその穴を埋めることができない。そういった大量絶滅は地質に残されている。

古生物学者らはこれまでに起きた5回の大量絶滅を特定している。4億4300万年前のオルドビス紀の終わり頃、推定86%の海洋生物が地球上から姿を消した。3億6000万年前のデボン紀の終わりには全生物の75%が絶滅した。2億5000万年前のペルム紀の終わりには史上最大の絶滅が起き、生物の96%が消えた。

2億100万年前の三畳紀の終わりには全生物の80%が姿を消した。最も有名な大量絶滅は6500万年前の白亜紀の終わりに発生した。このときは恐竜やアンモナイトを含む76%の生物が死に絶えた。他にも1万年前の、更新世の氷河期の終わりに起きたメガファウナ(巨大動物)の絶滅などもある。

大量絶滅の原因については、火山の噴火や隕石の衝突、気候変動などの天災が指摘されている。恐竜が消えた大量絶滅の原因として最も可能性が高いのは巨大隕石の衝突で、地球規模で生態系に影響を与えた。

氷河期の終わりに起きた大型哺乳類の絶滅の原因としては、気候変動に加えて人類による狩猟採の影響もあるかもしれない。

過去400年で数多くの哺乳類や鳥類、両生類、爬虫類が絶滅した。2011年にネイチャーで発表された論文では、現在の生物の絶滅率と、地質学的に平穏な時期と大量絶滅が起きた時期の率が比較された。その結果、現在の生物の絶滅率が過去よりも高く、大量絶滅に向かっていると結論づけられた。

人間の活動が地球規模で環境に影響を及ぼし、その悪影響は加速しているのだ。

国連が主催する政府間組織「生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学-政策プラットフォーム(IPBES)」は5月6日、人間の活動によって100万種の動植物が絶滅の危機に瀕しているというレポートを公開した。

報告によると、現在知られている種の4分の1が絶滅の危機に瀕している。両生類が最も危険にさらされており、調査対象の種の40%が絶滅しかけている。続いて針葉樹が34%、サンゴ礁が33%、サメやエイなどの軟骨魚類が31%、哺乳類が25%、そして鳥類が14%だった。

無脊椎動物では調査対象となった甲殻類の27%が絶滅の危機に瀕している。昆虫の数が激減していることも、最近の調査から分かっている。

編集=上田裕資

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