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オランダ観光局は、観光客の数を増やすのではなく減らすことを目的とした計画を作成した。観光客の数が2017年の1800万人から2030年には2900万人まで増えるとの予測を受け(これでも控えめな予想だ)、同国は観光客の数を制限することを決めた。

オランダ政府観光局(NBTC)は、昨年完了した政策見直しの結果、「すべての分野で“多ければ多いほど良い”とは限らない」と結論している。オランダは観光客誘致で大きな成功を収めてきたが、観光産業の成長が加速すれば2030年までには観光客の数が年間4200万人に増える可能性もあると懸念されている。

米紙ニューヨーク・タイムズの報道によると、アムステルダムの観光名所の多くが観光客増加のあおりを受けている。多くの格安航空会社(LCC)が就航するアムステルダムは、売春街ツアーや合法大麻が楽しめる週末の旅先として売り込まれてきた。だが同市は、成功に伴う犠牲を払うようになった。売春街ツアーは減り、一部の「コーヒーショップ」では地元の住民である証拠を見せなければ麻薬を吸えなくなった。

英紙テレグラフが昨年8月に報じたところによると、アムステルダム市議会は人口過密やゴミ問題などを理由に、市の多くの部分が地元住民にとって「居住不能」になったとの見解を示している。

また英紙ガーディアンの先日の報道によると、オランダの他地域では、人々に愛されるチューリップ畑が、スマートフォンを手に自撮りにいそしむ観光客によって踏み荒らされている。年々増えていく観光客に頭を悩ませる地元農家は近年、畑に殺到する観光客に対抗するためフェンスの設置を余儀なくされた。また、花畑への尊重の気持ちを高めるため、畑の歴史を教えるボランティア活動も行われている。

過剰な混雑を避けるため、地元住民はこうした場所から追いやられることが多い。観光局は新たな戦略として、混雑するアムステルダムなどの地域を中心に、バランスを回復させることを目指している。

目標は、オランダがその文化的特徴の一部を保持しつつ、自国民にも門戸を開いた状態にすることだ。さらに、廃棄物や二酸化炭素の削減といった持続可能性目標の達成も望まれている。観光局が同国の宣伝をやめるわけではなく、あまり知名度が高くなくて観光客を増やしたい地域を重点的にアピールすることになる。また、観光客が全く来なくなるということでもない。

編集=遠藤宗生

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