ビジネス

2019.05.20 11:00

赤字転落の中国「バイドゥ」創業者、株価急落で1500億円を喪失

バイドゥ創業者、ロビン・リー(Photo by Lintao Zhang/Getty Images)

バイドゥ創業者、ロビン・リー(Photo by Lintao Zhang/Getty Images)

中国の検索エンジン企業「バイドゥ(百度)」の株価は5月17日、16.5%の急落となり、同社の創業者でCEOのロビン・リー(李彦宏)は約14億ドル(約1540億円)の資産を喪失した。

フォーブスの推定でリーの資産額は現在73億ドルとされている。バイドゥは5月16日、2019年の第1四半期決算を発表し、最終損益が3億2700万元(約50億円)の赤字となった。同社が赤字を計上するのは2005年の上場以来初のことで、決算報告を受けて株価は大幅に下落した。

広告収入の伸び悩みに直面するバイドゥは、第2四半期の売上見通しを前年同期比マイナス3%からプラス2%としており、このことも投資家を失望させた。

バイドゥの第1四半期の売上は前年同期比15%増の35億9000万ドルだった。「iQiyi(愛奇芸)」などの動画ストリーミング事業の売上は43%増となったが、コンテンツ費用も5割近く増加した。

バイドゥの売上の80%を広告が占めているが、この分野では競合のアリババやテンセントらが同社のシェアを奪おうとしている。さらに、新興勢力のバイトダンスも、世界5億人の利用者を誇る短編動画アプリのTikTokや、2億4000万人のアクティブユーザーを抱えるニュースアプリToutiao(今日頭条)で、バイドゥを追い上げている。

今回の決算では、検索サービス担当のシニアバイスプレジデントHailong Xiang(向海竜)の辞任も発表された。Xiangは2005年からバイドゥで勤務してきたが、検索結果で自社サービスを優先していることが発覚するなどの問題の責任をとっての辞任とみられる。

バイドゥからは、2014年から同社のAI(人工知能)部門を率いてきたアンドリュー・エンも2017年に離脱するなど、大物幹部の辞職が続いている。

バイドゥCEOのリーは、ニューヨーク州立大学でコンピュータ・サイエンスを学んだ後、2000年に同社を設立した。彼は中国のインターネット業界を代表する人物として知られている。

今回のバイドゥ株の急落で、リーの妻のメリッサ・マーも3億8000万ドルの資産を失い、現在の推定資産額は約20億ドルとされている。

現在、中国で最も裕福な人物はテンセントCEOのポニー・マーだ。フォーブスのリアルタイム・ビリオネアランキングのデータで彼の資産額は398億ドルとされている。

編集=上田裕資

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