TodayTixはニューヨーク以外にシカゴ、サンフランシスコ、ロサンゼルス、ワシントン、ボストン、ロンドンなどの劇場の格安チケットを販売している。購入はアプリ経由だが、劇場の入り口の横で待機している赤いユニホームのスタッフから、紙のチケットを受け取る仕組みだ。
創業6年のTodayTixを立ち上げた同社のプレジデントを務めるMerritt BaerとCEOのBrian Fentyの2人は、演劇のプロデュースに関わった経験があり、観客の中にミレニアル世代が少ないことに疑問を感じていた。
2013年に彼らは、劇場の古びたチケットシステムを革新することを目標にTodayTixを始動した。BaerとFentyは当初、ブロードウェイの劇場から直接、余ったチケットを購入する計画だったが、劇場の協力は得られず、専任のスタッフが窓口に当日券を買いに行くビジネスモデルに改めた。
「TodayTixのスタッフの赤いユニホームは、今ではブロードウェイの名物になった。ここまで事業を拡大できたことを誇りに思う」とFentyは話した。
TodayTixは今では世界450以上のシアターと提携を結び、ブルーマンなどの有名ショーのチケットも公演の直前に格安料金で入手できる。同社は昨年から独自のライブイベントの運営に乗り出した。
この取り組みは「TodayTix Presents」と呼ばれるもので、比較的小規模な会場で、ブロードウェイのスターたちが、観客の好みの楽曲を演奏する。ネットフリックスやHuluのオリジナル番組と類似したアイデアを、MTVの「アンプラグド」のような親しみに満ちた空間で実現するものだ。
このプロジェクトは成功を収め、TodayTixは既に3億ドルを超えるチケットを販売。顧客の54%がミレニアル世代だという。「利用者の10人に9人は、これまで1回もシアターを訪れたことがない人々だ」とFentyは話した。
TodayTixは劇場のチケットというニッチなジャンルを開拓し、米国で150億ドルに及ぶとされる市場に革新をもたらした。同社はシアターという古びたエンターテイメントを、エクスペリエンスとして若い世代に提案することに成功した。
「彼らの試みは、オーディエンスにとっても、劇場側にとってもメリットをもたらすものだ。TodayTixは新たな需要を掘り起こしている」と、今回の出資を行ったGreat Hill Partnersの担当者は話した。