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性的マイノリティを巡る問題に対する関心はグローバルで日に日に増している。台湾立法院(国会)にて5月17日、同性婚を認める法案が可決された。同性婚が認められたのはアジア地域では初の出来事だ。
 
現総統の民進党・蔡英文は当選時よりリベラル路線を打ち出しており、今回の可決で選挙公約を果たす形となった。
 
同性婚が世界で初めて認められたのは2001年オランダだ。それを皮切りに欧州諸国では同性婚は次々承認され、欧州には現在16カ国の同性婚承認国がある。一方、アジア地域ではなかなか広がらない。アジア各国で同性婚が認められにくい背景には何があるのだろうか。
 
アジア諸国の同性婚をめぐる現状
 
中国では同性婚の受け入れを巡って、同性カップルが地方政府を訴えたり、都市部を中心に同性愛者の権利や地位を守る運動が見られたりと、注目が集まっている様子だ。だが法律上では至るところに「男女」という表現が見られ、そもそも同性愛者の存在自体がなかなか受け入れにくい状態にある。
 
日本では憲法第24条がひとつのネックになっているという説がある。「婚姻は両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない」という条文だ。複数の自治体でパートナーシップ宣誓制度が認められているものの、まだまだその数は少ない。
 
しかし、今回の台湾の件をはじめとして、アジアでも変化の兆しが見えてきた。
 
インドの刑法では、同性間で性的関係を結ぶことは「不自然な違法行為」と定められており、懲罰は最高で懲役10年と厳しく禁じられている。2009年に国内の高等裁判所で違憲判決が出たものの、2013年に最高裁にて再度合憲とされ、長らくこの法を覆すのは難しいと思われていた。しかし、2018年に同性同士の性行為に最高裁から合法判決が出た。社会の風潮を大きく変える一歩として捉えられている。
 
同性婚への反対意見として、宗教的理由を背景とするものが挙げられる。また宗教や国を問わず「伝統的家族観や恋愛観の崩壊」および「少子化問題」を理由とする言説も見られる。
 
「特別に保護して欲しいとも、全員に価値観を理解してもらおうとも思わない。ただ、普通の人と同じように放っておいてほしい」バイセクシャルの知人がこのような言葉を漏らしたことがある。世界の動きに遅れを取ってきたアジアでも多様性への理解が進み、着実に変化しつつある。台湾に続くのは、果たして──。


文=田山礼真

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