データ保護に関わるプレッシャーに直面する同社は5月14日、バイエルン州の州都ミュンヘンに、「グーグル・セーフティ・エンジニアリング・センター(GSEC)」を開設するとアナウンスした。GSECはプライバシー関連のプロダクト開発の国際的なハブとなる。
グーグルは2019年末までに、現地でプライバシー関連のエンジニアリングに関わるスタッフ数を、現状の100人から200人にまで増員する。これにより、ミュンヘンのグール従業員の数は1000人以上に膨らむことになる。
グーグルCEOのサンダー・ピチャイは公式ブログで、「当社が欧州の中心でプライバシーのハブを開設するのは、必然の流れだ。ヨーロッパの人々のオンライン上の安全やプライバシーについての意識を、当社のプロダクトに反映させていく」と述べた。
GSECはオンライン上の安全性を高め、データのコントロール権を利用者が得るためのプロダクトを開発する。ミュンヘンに拠点を置くことで、プライバシー保護に強い関心を持つドイツ政府や地元の人々の信頼を得たい思いもある。
グーグルは2007年にミュンヘンに拠点を開設し、既に様々なプライバシー関連のプロダクト(グーグルアカウントやユーチューブ、グーグルマップ)の開発を行ってきた。
GSECの主任を務めるStephan Micklitzは「インターネットの門番ともいえるツールをミュンヘンで開発していく」と述べ、今後の数カ月で、プライバシー設定をより容易にし、Chromeの匿名モードなどのツールを発見しやすくする改善を進めると話した。
グーグルはフェイスブックと同様にユーザーの個人データを、広告ビジネスに活用している。今後の事業運営において、プライバシー保護とデータ収集のバランスをとることの重要性は劇的に高まっている。
市民団体からは、グーグルが今も膨大なデータを利用者の許可を得ずに収集しているという見方もあがっている。個人情報保護を訴える団体、Big Brother Watchのディレクター、Silkie Carloは「テック業界の大手らはようやく市民の声に耳を傾けはじめた。しかし、彼らは実際に改善を行うよりも、表面的なPRでごまかす傾向がある」と話す。
現状で、データ収集を好まないユーザーは、クロームブラウザの設定を匿名モードにすることで、それを避けられる。
「デフォルトで匿名モードをオンにする計画はないのか?」と、フォーブスが尋ねたところ、同社のプロダクトマネジメント主任のMark Risherは「データを共有したくない場合、グーグルアカウントからログアウトすれば、情報はシェアされない」と回答した。
グーグルのミュンヘンの拠点では現在、750人の社員が働いており、プロダクトの開発やリサーチを行っている。同社は欧州全体で1万7000人を雇用している。グーグルの欧州最大規模の拠点はロンドンとダブリン、チューリッヒに置かれている。