ビジネス

2019.05.20

「アイスクリームのサブスク」を始めたHiOLIが目指す、100年続くコミュニティ

HiO ICE CREAM


「アイスクリームは成長産業」

西尾は2003年にリクルートに入社し、人材採用メディアなどの業務に関わった後、2013年にミクシィに参画し事業統括などに携わった。2016年にスイーツ事業などを展開するスタートアップに参画して副社長や社長を歴任した後独立、2018年8月にHiOLIを創設した。今年4月19日にはクラフトアイスクリーム「HiO ICE CREAM(ヒオ アイスクリーム)」の製造工房「アトリエ」を東京・自由が丘にオープンした。

クラフトアイスクリームのショップを起業するにあたって西尾が思い描いたのは、「持続可能で無理のない成長」だという。

「最短距離で成功しようとするなら、起業の題材としてアイスクリーム以外の選択肢もあったと思います。しかし、アイスクリーム市場を調査してみると、とても魅力的なものだったのです。日本でのアイスクリームの市場規模は、10年前でおよそ3000億円。今は5000億円を超えている。このペースでいくと10年後は7000億円市場になるような成長産業です。

今、欧米のコーヒーやチョコレート、ワインやビールといった成熟したマーケットでは、素材や産地との関係性をゼロから見直す動きが強まり、日本にも波及しています。新しい美味しさ、付加価値を表現する、もしくは原点回帰させていくクラフト的なアプローチですね。ところが、自分が調べる限り日本のアイスクリームにはこうしたクラフト的なものがなかったので、そこにチャンスを見出したんです」

アイスクリームが成長産業であること、クラフトアイスクリームというすき間を狙うことで、マスマーケットではなく「顔の見えるお客さん」と一緒にブランドを育む。それが西尾の狙いだ。

「100人のうちの1人のお客さんが熱狂してくれるようなプロダクトにしたいと思いました。ファンと一緒に、10年、100年と育てていけるようなブランドを作れたら、自分にとっても、社員やお客様にとっても幸福度が高いビジネスが成立するのではないかと」

「美味しいものを作っていればいい」だけではなく、「売れればいい」だけでもない。美味しいものを提供し、利益を再投資しながら「無理をしない成長」をしていきたいと、西尾は静かに、しかし力強く語った。

文=久世和彦

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