ビジネス

2019.05.20

アマゾンらが600億円注ぐ、英フードデリバリー「Deliveroo」の強み

Photo by Dan Kitwood/Getty Images

ロンドンに本拠を置くフードデリバリー企業「Deliveroo」がアマゾンの主導で5億7500万ドル(630億円)のシリーズG資金調達を実施したと宣言した。今回の出資には既存出資元のT Rowe Priceやフィデリティ、Greenoaksらも参加した。

2013年創業のDeliverooはこれまで15億3000万ドルを調達しており、今回の調達資金でロンドンの技術スタッフを増員し、デリバリーに特化した調理拠点であるEditionsを広げていくと述べた。

同社の創業者でCEOのウィリアム・シュー(Will Shu)は「調達資金で事業を拡大し、顧客の選択肢を増やしていく。個人の好みに合うメニューを増強し、提携レストランにはより大きなビジネスの成長機会を与える。配達スタッフの待遇も向上させる」と述べた。

アマゾンの英国カントリーマネージャーのDoug Gurrは次のように述べた。「当社はDeliverooの顧客中心主義のアプローチを信頼している。多様なレストランと提携し、便利なサービスを提供していく姿勢に感銘を受けている」

ロンドンで始動したDeliverooはアプリから頼める食事の出前サービスで、創業者のシュー自身が自転車でレストランのメニューを顧客に運ぶところから、事業を始めた。シューは当初、自分で近道を探っていたが、現在ではコンピュータサイエンスの専門家らが最適なルートを見つけ出し、デリバリーを行っている。

Deliverooはマシンラーニングやコンピュータビジョンの知見を持つエンジニアを多数雇用しており、最先端のテクノロジーをデリバリーに活用している。同社のデータによると、自転車のほうが車よりも迅速なオペレーションが可能だという。Deliverooは現在、13カ国で3万名の契約スタッフを雇用している。

同社は数千軒のレストランと提携し、お腹を空かせた顧客に30分以内に食事を届けている。Deliverooはアプリ経由で注文を受け、マシンラーニングを用いた予測モデルで料理の出来上がり時刻を予測し、最適なロケーションの配達スタッフをマッチングする。スタッフが料理を運ぶのに要する時間は平均で6分程度という。

配送ルートは独自のアルゴリズムで最適化され、スタッフの賃金を最大化すると同時に、顧客には出来たての食事を届けている。

Deliverooの2018年の売上は、前年度の2倍の2億7700万ポンド(約390億円)に達した。しかし、損失も1億8500万ポンドに膨らんでいた。

編集=上田裕資

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