だがヒューズが提示したフェイスブックの解体という解決策は、この問題の中でおそらく最も重要な側面である、政治的分断を生む偽情報や有害コンテンツのネット上での氾濫に対処できない。
ヒューズは5500語に上るエッセーで、フェイスブックのインスタグラムとワッツアップ買収を許した米政府を批判し、同社を独占禁止の観点から解体することを推奨している。
しかし、米政府がフェイスブックにインスタグラムやワッツアップの売却を強制したとして、どうなるのだろうか?そうすれば、ロシアが2020年米大統領選に介入したり、米国の政治分裂を促すためにネットを悪用したりすることを防止できるのか?
また、その他の権威主義的な政権がインターネットを使って国内の民族的・政治的緊張を扇動するのを防げるのか?
エッセーの中でヒューズは「フェイスブックが持つ権力のうち最も問題な点は、マーク(・ザッカーバーグ最高経営責任者)が一方的に言論を制御していることだ。20億人の会話を監視・整理し、さらには検閲もできる彼の力は、これまで前例がない」と述べている。
ヒューズは、ミャンマーの少数民族ロヒンギャに対する暴力を扇動していたミャンマー政府関係者らのフェイスブックアカウントを削除したザッカーバーグの判断に言及し、「大半の人は彼の決断に同意するだろうが、彼が独立した権限や政府に全く説明責任を持つことなくこの決定を下したのは非常に問題だ」と述べた。
「マークはかつて、フェイスブックがただの『社会的公益事業』、つまり人々が好きなことについて話せる中立的なプラットフォームだと主張していた。彼は現在、フェイスブックがプラットフォームであると同時に出版社でもあり、価値観について必然的に判断を下していることを認識している」とヒューズ。
「マークはこの力があまりに大き過ぎることを理解していて、緩和のために2つの要素から構成される戦略を進めている。彼はフェイスブックのフォーカスを転換し、従業員が閲覧、ましてやコントロールができないような、よりプライベートで暗号化されたメッセージングを奨励している。2つ目に、彼は規制当局や業界の重鎮らによる友好的な監督を望んでいる」