経済・社会

2019.05.18 18:00

フェイスブック解体でも解決しないソーシャルメディア最大の問題


ここでのヒューズの分析は不十分だ。というのも、彼は独占禁止規制が主要な解決策になると考えているものの、こうした規制はさまざまな形のフェイスブック悪用に全く対処できないからだ。

ワッツアップがフェイスブックの傘下であれ独立した企業であれ、サービス内の至るところで起きている政治的操作や偽情報拡散に対処する必要がある。これは最近のブラジル総選挙、そして現在インドで行われている選挙で見られる深刻な問題だ。

このサービスが持つ暗号化の性質により、問題の規模を測ることさえもが難しくなっている。ザッカーバーグはつい最近、エマニュエル・マクロン仏大統領と面会し、ソーシャルメディア企業によるヘイトスピーチ監視の「注意義務」を履行するよう求めるフランス側の提案への支持を表明した。

しかし、権威主義政権が反対派を抑え込み、言論の自由を奪うためフランスのモデルを利用した場合、フェイスブックはどう反応するのだろうか?

こうした望ましくない結果を避けるためには、いくつかの重要な問題を解決する必要がある。これらの問題は、フェイスブックが複数の会社になったとしても残るものだ。まず、コンテンツをネット上から削除する際の具体的基準はどうあるべきか?

例えば、ネット上のプラットフォームで採用すべきなのは、米国憲法修正第1項の基準なのか、それとも言論の権利と差別防止のバランスを取った国際連合の基準(こちらは欧州諸国の観点に近い)なのか?

ネット関連企業は互いの差異を乗り越え、コミュニティーとしての基準を定義できるだろうか?そして、政治分野での偽情報の増加にはどう対処すべきなのか?

こうした基準を設定できたとしても、誰がそれを施行するかという問題が生じる。ヒューズは「私たちには、米議会から権限を与えられテック企業を規制する新たな機関が必要だ」と述べている。しかし、コンテンツ規制を政府に任せるのは非常に悪い考えに思える。

ザッカーバーグらは、難しいコンテンツ管理の判断に対応する外部要請機関や第三者委員会を作るアイデアを提案した。この提案は有益だが、さらに吟味する必要がある。

支持者らは、「独立した」判断者や専門家を誰が任命するか、その最終的な権力には何が含まれるのかといった未解決の難しい問題の数々に取り組む必要があるのだ。
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編集=遠藤宗生

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