かつて「アクセル・パートナーズ」の社名で知られた同社は、今回のファンドの組成で運用総額を30億ドルに拡大した。新たなファンドの投資対象は、主にアーリーステージの企業になるという。
米サンフランシスコ本拠のアクセルは、欧州にも拠点を構えており、ソフトバンクのビジョンファンドや、インデックス・ベンチャーズ、アトミコ(Atomico)らと並ぶ、世界最大のVCの1社だ。
アクセルは今回のファンドの出資元を明らかにしていないが、同社のパートナーのPhilippe Botteriはフォーブスの取材に、「ブレグジットを控えた英国の混乱は、資金調達に影響を与えなかった」と述べた。ファンドのリミテッドパートナー(LP)には匿名の寄付財団や基金団体、年金ファンドらが参加したという。
「欧州には確立されたエコシステムが存在し、当社のLPらは確実な成長を見込み、投資機会を探っている」とBotteriは話した。
Botteriはさらに、アクセルの投資先の欧州企業もブレグジットの混乱とは無縁だと述べた。同社はフランスの相乗りサービスの「ブラブラカー(BlaBlaCar)」や昨年ロンドンでIPOを果たしたフィンテック企業「Funding Circle」らにも出資している。
「当社の出資先には英国市場にも浸透したフードデリバリーのDeliverooなどがあるが、今のところ全くネガティブな影響は見られない」と彼は話した。
アクセルは欧州で広範囲のテクノロジー企業に投資しているが、特にデジタルヘルス領域や、オートメーション、セキュリティ、フィンテックに注力している。
今回、アクセルが欧州のスタートアップ向けに組成したファンドの規模は巨大だが、欧州企業に注がれるVCの投資額は米国や中国企業向けの額と比較すると、はるかに少ないことは指摘しておきたい。
市場調査企業Preqinのデータによると、2018年の世界のVCの出資額に欧州のスタートアップが占める割合は、わずか10%だった。