億万長者の厳しい世界について執筆

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イスラエルのベンチャーキャピタリスト、エレル・マルガリットは過去25年間に、出資したスタートアップ12社を米ナスダックに上場させてきた。また、最も成功しているビッグデータや人工知能(AI)、サイバーセキュリティー分野の新興企業の海外進出を実現させてきた。

そのマルガリットが今、焦点を定めているのがフードテックとアグテックの分野だ。投資における「最後のフロンティア」と位置付けている。

マルガリットが率いるベンチャーキャピタル・ファンド、エルサレム・ベンチャー・パートナーズ(JVP)はこれまでに、9つのファンドを通じて14億ドル(約1530億円)以上を調達。

最近の投資先には、ひよこ豆を原料とする植物性タンパク質を販売するイノヴォプロ(InnovoPro)や、甘みを変えることなく砂糖の使用量を40%減らせる技術などを開発したドゥマトック(DouxMatok)などのスタートアップがある。

JVPは、イスラエル国内のフードテックとアグテック関連の新興企業は、合わせて230社を超えるとみている。だが、マルガリットによれば、こうした企業の問題は、その大半が開発した技術を商品化し、国際的な規模のビジネスにすることを考えていないことだ。

M&M’Sやスニッカーズ、ペットフードのアイムスなどを手掛け、売上高がおよそ350億ドルに上るマースとの提携により、JVPはこうしたイスラエル企業の状況を変えることを目指している。

JVPとマースはイスラエルに開設する研究開発センターを通じて、世界の食糧システムのあらゆる側面に関連した技術ソリューションをスケールさせ、商品化することに取り組む計画。

マルガリットによると、このセンターは国内の新興企業に出資するほか、ヘブライ大学やワイツマン科学研究所、イスラエル工科大学などの研究者らとも協力も推進する。

フードテックやアグテック関連の事業への関心は、ますます高まっている。同分野の関連ビジネスに投資するベンチャーキャピタル、米アグファンダーの報告書によると、世界全体では昨年、同分野の企業が調達した金額は前年比43%増の169億ドルに上った。

5月2日に新規株式公開(IPO)を実現した代替肉の生産・販売を行う米ビヨンド・ミートの株価は上場後、大幅に値上がしている。このことも、同分野のスタートアップの今後に期待が持てることを証明するものだ。

マースは2011年に設立されたアフリカン・オーファン・クロップス・コンソーシアム(AOCC)に参加しており、米グーグルや国連児童基金(ユニセフ、UNICEF)などとの提携により、アフリカで生産される食用作物の研究を支援している。

AOCCはアフリカで栽培される101の主食作物のゲノム解析を行い、栄養価、収量量、気候変動への耐性の改善を行っている。

マース・アドバンスト・リサーチ・インスティテュートのバイスプレジデントは、自社にとってイスラエルでは初となる研究センターの開設について、JVPとの提携により、世界の最も優れた機関と協力し、食料システムに実質的で前向きな影響を及ぼすと考えられる発見に向けた委託研究の機会を創出していきたいと述べている。

編集=木内涼子

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