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中国は関税率の引き上げによって価格が上昇した米国産大豆の購入量を、大幅に減らしている。米国の大豆の産地は主に、中西部にある穀倉地帯で生産されている。

また、中国は「(米与党・共和党を支持する)赤い州」が集中するこの「ファームベルト」で生産される食肉の輸入も停止しており、この地域は実質的に、中国からの制裁を受けている。

ファームベルトは、2020年の大統領選でドナルド・トランプを支持する有権者を減らすために、標的にされている。昨年11月に行われた中間選挙では、中国のこのやり方が効果を発揮。複数の郡で、野党・民主党が下院の議席を奪った。

中国との貿易戦争で最大の犠牲を被っているのは、投資家たちのポートフォリオではない。トランプを支持してきた有権者たちだ。米コンサルティング会社、エンパイア・グローバル・ベンチャーズのサム・ナタポフ社長は、トランプは貿易戦争によって、自分自身を自らの敵にしたと指摘している。

中国は5月13日、600億ドル(約6兆5600億円)相当の米国からの輸入品に対する関税率を25%に引き上げると発表したが、対象となるのは主に農産物だ。「(野党・民主党支持の)青い州」の中でも“真っ青”なニューヨーク州やマサチューセッツ州などは、あまり関係がない。

政府の支援がより重要に

中国は翌14日、関税引き上げの対象となる米国製品の一部を対象から除外することを明らかにした。米国も同様の措置を講じており、これまでに1万5000社ほどが適用の免除を申請している。だが、幸運な企業となるのは、そのうちのごくわずかだ。

米国の農家には、昨年成立した改正農業法の下、補助金の支払いなどの支援策が講じられている。共和党の支持者には規制や課税を嫌う中小企業の経営者も数多くいるが、政府には中小企業を救済する強い政治的意思はない。

中国が米国産の大豆と豚肉の輸入をほぼ禁止した状態を維持することになれば、共和党は次の大統領選でのトランプの勝利を確実なものにするため、生産者への支援を強化しなくてはならないだろう。

また、関税で打撃を受けた企業を支援できるだけの大きな資金力を持つ「ブラックボックス」のような中国も、全ての製品が関税引き上げの対象になれば、政府の支援は行き渡らなくなると考えられる。

編集=木内涼子

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