Slack、急成長の秘訣──人事トップが明かした、採用のポイント、組織づくりの裏側

Slackのカンファレンス「Frontiers 2019」のセッションに登壇したロビー・クォック


半年に1回のパフォーマンスレビューを、リアルタイムに

──ロビーさんが登壇した先ほどのセッションでは、Slack内で人事業務を効率化しているのが印象に残っています。人事業務の効率化において、Slackはどんな役割を果たしていますか?

最近、Slackはエンゲージメントに関するアンケートの実施、フィードバックの共有を簡易化するツール「Lattice(ラティス)」を導入し、パフォーマンスレビューの効率化を図っています。これまでSlackでは6カ月ごとに、パフォーマンスレビューを実施していました。実施にあたって、社員1人ひとりが1時間かけて自己評価し、その後、同僚から1時間かけてフィードバックを求める。準備だけで1人あたり2時間くらいかかってしまっていたんです。

一方、マネージャーは部下全員のパフォーマンスレビューシートを見て、レポートを書かなければいけない。部下が5人いたとしたら、パフォーマンスレビューに20時間くらいかかっていたと思います。

現在、Slackの社員は1500人を超えており、1年に2回もパフォーマンスレビューを実施していたら、数万時間がパフォーマンスレビューに使わることになるでしょう。そこで「Lattice」を導入することにしたんです。このツールを導入することで、Slack内でお互いのパフォーマンスレビューをリアルタイムにできるようになりました。それを機に6カ月に1回ではなく、常に継続的にパフォーマンスレビューを実施するよう推奨しています。

また、マネージャーにも自分の部下と6カ月に1回ではなく、常に対話をするように話しています。それにより、あまり時間をかけずとも、6カ月おきのパフォーマンスレビューと同じ結果を得ることができました。

このツールを使い始めて、まだ2カ月ですが、社内では「Lattice」を頻繁に使うようになっています。「Lattice」にログインせずとも、Slack上で使えるのが魅力なんです。

──社員のエンゲージメント向上、モチベーション向上に役立ちそうな気がしました。

そうですね、すごく役立っています。今まで、毎年10月に社員向けのエンゲージメントサーベイを行っていたのですが、「Lattice」を導入したタイミングで、4半期に1回、小規模なエンゲージメントサーベイを実行するようにしたんです。

4半期に1回のエンゲージメントサーベイの質問は12個で、1年に1回のエンゲージメントサーベイの質問は65個。決して、1年に1回のエンゲージメントサーベイを無くしたわけではないのですが、4半期ごとにやっていくことで、もっときめ細かく社員のエンゲージメントを把握できるようにしたいと思っています。


Slackのサンフランシスコオフィス
オンボーディングにもSlackのカルチャーが宿る

──先ほどの話にもありましたが、Slackのオンボーディングについても話を聞かせてください。オンボーディングの際、何か意識されていることはありますか?

Slackでは、新しく入社してくるメンバーは入社2週間前から社内のSlackに加わることができます。そうすることで、同じ時期に入社する人とSlack内で連帯感を持つことができるほか、人事や総務といった人とも知り合うことができ、初日から仕事が進めやすくなります。

そして入社初日は朝9時になると、経営陣から30分ほどのウェルカムメッセージ動画が贈られます。その後、3日間は人事のプロセスやコンピューターのセットアップ、Slackのコアバリュー・ブランドの勉強などの研修を受けます。また、初日のランチでは配属先のマネージャー、チームメンバーとランチする時間を必ず設けているのも特徴です。

3日間の全社的なオンボーディングが終わったら、バディーがつき、配属先でもっと細かいオンボーディングが行われます。例えば、営業の人はSalesforceの使い方、営業の仕方について研修を受けるんです。
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文=新國翔大

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