というのは、どう見ても、アメリカは日本車の最大の市場だから。アメリカがくしゃみをすると、日本が風邪はひくというのは本当みたいだ。
アメリカにおいて、日本車はどのセグメントでも高い評価を得ている。USニューズという有力専門サイトによると、日本車は各種ランキングで首位を争っている。例えば、小型車部門とハッチバック部門ではホンダ・フィットが、スポーツカー部門ではマツダ・ロードスターが、ハイブリッド部門ではトヨタ・カムリ・ハイブリッドが、それぞれ1位に君臨している。
さて、これらの評価はどのように決定されているのか? USニューズでは、自動車評論家による試乗記の評価と、第三者の安全性と信頼性のデーターに基づいて、各部門の最も優れた新車を選定する。各車の性能、走り、加速性、ブレーキ性能、乗り心地など評論家の評価は、新聞、専門誌や有力ウェブサイトから収集すると同時に、高速道路交通安全事業団が調べる各車の安全性の結果と、JDパワーによる信頼性のリザルトを合わせて評価する。
この結果を見たとき、「あ〜、なるほど。それはそうでしょうね」と頷いた。これらの日本車は昔からずっと1位をキープしてきているか、トップに挑戦しているかだ。総合的に評価するこのリポートで目立つのは、ホンダが強いことだ。フィットが2部門で1位を獲得し、アコード・ハイブリッドも2部門で2位。トヨタも、アバロンが1位を制するハイブリッド部門では強いし、中型高級車部門でもレクサスLCが3位に入っている。
ただ、各部門のランキングを細かく分析すると、意外なことに気づく。日本にいてはイマイチ実感がわかないけれど、このところ韓国車が日本車に勝つ部門が出てきている。
例えば、マツダ・アクセラが2位のコンパクトカー部門では、キア・フォルテという車種が1位を獲得しているし、大型車部門では、キア・カデンツァがトヨタ・アバロン・ハイブリッドを抑えて1位をゲット。ほとんどどの部門でも必ずと言っていいほどトップ3にランクインされ、無視できない存在になっている。
キア・フォルテ(Steve Lagreca / Shutterstock.com)
何がそんなに評価されているかというと、どんどん良くなってきている信頼性や安全性、コストパフォーマンス、それに優れたデザイン性だ。
僕は、毎年アメリカに取材に行くたびに最近の韓国車に乗ってみるけど、できとデザイン性がとにかくいい。正直にいうと、走り、乗り心地、信頼性、安全性は日本車と並び、デザインとコストパフォーマンスでは日本車より一歩先んじている感じがする。
例えば、昨年乗ったジェネシスG70と2年前に試乗したキア・スティンガーの格好いいデザイン、完成度や走行性能には驚いた。また、LAの大試乗会で乗った超小型部門の1位のヒュンダイ・コナも同様に優れていて、スバルXV(同部門4位)やマツダCX-3(同5位)よりもアメリカの消費者に好かれているので、この結果には納得できる。
デザイン性と走りが向上したのは、ヒュンダイ・キア・グループが10年前に雇ったドイツのデザイン巨匠、ピーター・シュレイヤー氏と、BMWから引き抜いたM部門のトップエンジニアのアルバートビアマン氏の2人だ。すごい戦力だと思うけど、日本のカーメーカーはそういうことをしないから、デザインや技術の面でキャッチアップされている。
今年や来年は、日本車が引き続き首位を争うだろうけど、再来年からはなんとかしないと、韓国車が日本車を超えてくる可能性があると感じている。10年前に日本から撤退したヒュンダイは、今年10月に開催される東京モーターショーで最新の水素電気自動車やEV車を戦略車として再び日本市場に挑戦をかけようとしている。日本のカーメーカーさんには、最近の韓国車をぜひチェックしてみて欲しい。