ビジネス

2019.05.16

「迎合」ではなく「尊重」を。終身雇用崩壊後の日本企業のあるべき姿とは?

(左)タレンティオ代表取締役兼CEOの佐野一機 (右)篠田真貴子


篠田:役職とは別次元の信頼関係、社内の「フラットさ」をいかにつくるか。そこで大事なのは、やはり「どのような姿を目指すのか」を考えることかもしれません。

例えば、グーグルはあれほどの巨大な組織なのに、経営層が社員からのあらゆる質問に答える集会を週一で開いているそうです(*4)。これはトップが質問に応じるという意思表示だけでなく、全ての社員に向けて「あらゆるレベルの対話をやろうよ」というメッセージを送っているのだと思います。

佐野:普段から、なんでも話せる空気を醸成しているということですね。

篠田:はい。社内の心理的安全を普段からいかに整えることができるか。そのためには会議の場での発言権よりも、職場で顔を合わせた際に二言三言程度の会話をたくさん交わすことが大事だと聞いたこともあります。

信頼関係を築いていくには様々な施策が必要ですが、明日からでもできることとして、私は「外部とネットワークをつくる」ということをおすすめしています。所属している組織だけの文脈で生活していると、どうしても視野が狭くなり、自分の考えていることを発言しにくくなったりすると思うのです。簡単に出来て、効果があるという意味で、所属している組織以外の知り合いをつくるというのは有意義ではないでしょうか。社外の知見を得るだけでなく、自分の職場の強みを再発見する機会にもなります。



佐野:ぼくもそう思います。まさに、日々の積み重ねですね。HRをアップデートするには大仰な施策も大事ですが、ちょっとした日々のことを変えるだけでも大きく変わると思います。すぐに実践できる、という意味では、常に目の前のひとを尊重した姿勢で会話する、といったことも効果的だと思います。僕が個人的に信頼を築くために心がけていることの一つが、本音の意見を聞ける・話せるということを日常的にできるかどうか、ということ。

関係性が悪化してからどうにかしようと思ってもすでに手遅れなので、先程篠田さんが仰ったように、一言二言でも声を掛けることや、自分がちょっと体調が悪くて意図せず態度が不遜になりそうなときは物理的に距離を置いたりとかしています。尊重されている、と感じていれば、余計なことを考えずにすみますからね。メンバーが不満に思っていることや、逆に僕が不満に思っていることをフラットに健全に話せる状態が理想ですよね。
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構成=野口直希 写真=小田駿一

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