誰もアマゾンに追い付けない
こうしたことは全て、アマゾンがいずれの同業他社より賢いことを示している。ただしい、忘れてはならない重要な点は、アマゾンが一夜にして現在の同社になったのではないということだ。恐れることなく実験を重ねてきたからこそ、現在のアマゾンになることができたのだ。
アマゾンは毎年、研究開発に230億ドル(約2兆5200億円)程度を費やしている。しのぎを削る競合相手よりも、およそ60億ドル多い。また、研究開発に拠出する金額が多い企業のランキングで10位までに入る小売企業は、アマゾン以外にはない。実験こそが、アマゾンの「秘密のソース」であることが分かるだろう。
小売最大手のウォルマートは、時代遅れの店舗モデルで人工知能(AI)の実験を行っている。百貨店のメイシーズは、コンセプト・ショップの「ストーリー」で、丸い穴に四角いくいを打とうとしている。だが、誰かがアマゾンの先例に倣い、何もないところから実験を始めるガッツを持たない限り、これらは何の意味もないただの空騒ぎだ。
アマゾンと同じことができるようにならない限り、小売業界、ロビイストたち、そして政府はどれだけ努力をしても、決して同社に追い付くことはできないだろう。