企業の「IT雑務」をAIで解決する米国企業、33億円を調達

chainarong06 / shutterstock.com

会社のITヘルプデスクにソフトウェアのアクセス権やパスワードのリセットを依頼し、数時間から数日間待たされることほど無駄な時間はない。こうした問題を解決しようとしているのが、ベイエリアのスタートアップ「Moveworks」だ。

3年前に設立された同社は、このほどシリーズAでLightspeed Venture Partnersとベインキャピタルから総額3000万ドル(約33億円)を調達したと明らかにした。同社の製品は、アカウントのロック解除からメールリストの管理まで、様々なテックサポートを自動的に処理する。

単純作業の自動化をソフトウェアが行う「エンタープライズ・オートメーション」は、自然言語処理や機械学習をはじめとするAI技術の進化によって広く普及し始めている。Moveworksは、企業の業種や規模に関わらず、共通して発生するIT関連の雑務をエンタープライズ・オートメーションの技術を用いて解決しようと考えた。

共同創業者兼CEOのBhavin Shahによると、同社は6社において実際に発生した2000万件ものITヘルプデスクへの問い合わせ案件を用いてAIモデルをトレーニングしたという。現在では、従業員が新しいハードウェアを発注したり、ソフトウェアのライセンスを取得するといったタスクを行うことができるようになったという。

これにより、IT部門の社員はより複雑なタスクに時間を費やすことができるようになったと同時に、問い合わせをした社員の要望に早く応えることができるようになったという。従業員は、Slackなどのチャットアプリを介してMoveworksを利用することができる。

Moveworksは、新たに発行される問い合わせを分析し、可能な限り自動的に処理するという。Shahによると、Moveworksは、導入してすぐからITヘルプデスクへの問い合わせの15%程度を自動処理することができるが、数週間後には30%程度まで向上するという。現在では、BroadcomやWestern Digital、Autodesk、Nutanixなどが同社のサービスを利用している。Shahによると、1社当たりの契約金額は、企業の規模に応じて10万ドルから100万ドルだという。

Nutanixでチーフ・インフォーメーション・オフィサーを務めるWendy Pfeifferによると、1年前にMoveworksを導入してから社員の精神衛生に大きな効果が見られたという。
次ページ > 競合企業も続々登場

編集=上田裕資

ForbesBrandVoice

人気記事