同社では2017年7月から2018年にかけて社員が倍増したことを受け、ITヘルプデスクへの問い合わせが大幅に増えた。Pfeifferが問い合わせに対処するのに要した時間と、従業員の満足度を調査したところ、その数値の低さに驚愕したという。
「結果は酷い内容だった。従業員たちは、IT部門を憎悪していたことがわかった」と彼女は話す。しかし、Moveworksを導入してから状況は大きく改善した。現在では、1日に発生するIT関連の問題の35%近くをMoveworksが自動的に解決しているという。
「導入効果を見て驚いた。ITサービス管理向けに作られたツールがこれほど成果を出した事例は稀だ。IT部門の社員の日常も、問い合わせをしてきた社員たちの満足度も大きく改善した」と彼女は話す。
Moveworksの機械学習モデルは、顧客企業ごとに異なる会議室の名称や使われているソフトウェアを認識することができるほか、導入企業のデータを横断的に学習することもできる。これにより、ITの専門用語や、問い合わせの内容をより高い精度で理解できるという。
従来のITサービス管理システムもAIを活用し始めている。ニューヨーク本拠の「Electric」もチャットを使ったITの自動化システムを提供しており、今年1月には2500万ドルを調達している。競争環境が厳しくなる中、Moveworksは自動的に処理できるタスクの数を増やすことで差別化を図る必要がある。
Lightspeed のパートナーで、Moveworksの資金調達をリードしたArif Janmohamedは、Moveworksの創業メンバーの能力を高く評価しており、十分差別化を図ることができると考えている。
「我々は、次世代のIT自動化がどのようなものか考えてみたが、Moveworksのビジョンとプラットフォームは、競合他社に比べて圧倒的に優れている」とJanmohamedは語った。