Close RECOMMEND

世界38カ国、800万人が愛読する経済誌の日本版

BIOTOPE代表取締役の佐宗邦威(左)と、至善館理事長の野田智義(右)

私たちがこれまで受けてきた学校教育は、その多くが「正解」を求めるものだった。問題集の付録には問題の答えと解説が掲載されている。正解と、それを導くまでのプロセスを学び、試験ではその能力が問われてきた。

しかし現代社会に目を向けると、東日本大震災に端を発した原発に関する議論や少数民族・移民問題、激化する宗教間の争いなど、決まった問題解決プロセスや正解が存在しない問いが山積している。

インターネットの民主化やグローバル化の進行による多様な価値観の顕在化により、日常生活レベルでも向き合わざるを得ない複雑な課題が増えているのだ。

そんな変化は、ビジネスシーンにも起きている。

資本主義傾倒への疑問、大量消費・大量生産への反発、ピラミット型・トップダウン型組織の息苦しさ…… VUCAの時代とも言われるように、会社経営を取り巻く環境が一層「不確実」になっているいま、私たちはどのように働き、またどのように生きていくべきなのか。

そんななか、22世紀型のMBA・リーダーシップ教育を掲げる「大学院大学至善館」が2018年8月に開校した。

理事長の野田智義氏は、マサチューセッツ工科大学でMBA、ハーバード大学で経営学博士号を取得し、ロンドンとフランスの大学でMBA教育に携わってきた人物だ。

そんな野田氏は、「21世紀に突入し、社会環境の激変に対応しきれなくなっている」と、現状を話す。MBA教育やリーダーシップ論のアップデートをするために、至善館ではサステナビリティやインクルーシブといった現代的価値観を取り入れた教育を行っている。

その野田氏、そして、事業や組織のデザインなどを行う共創型戦略デザインファームBIOTOPEの代表取締役であり、至善館で准教授として教鞭を執る佐宗邦威氏に、新しい時代において私たちに求められる「姿勢」について話を聞いた。



率直にお聞きしますが、これからの時代にビジネスパーソンに求められることは何でしょうか。

野田智義(以下、野田):たくさんありますが、ひとつは「問いを立てる能力」ではないでしょうか。いまのビジネスパーソンたちは、生き残りをかけたデス・レースを競っていると思います。

先日、とある一流大企業の社長さんに「社長として何を心がけていますか」と聞いたところ「生き残ること」と返ってきました。古くから続く名門大企業ならではの切実な悩みなのかもしれませんが、私はこれに違和感を覚えました。

「何のため、誰のため」を問わないビジネスや教育が、人々を疲弊させていることは、いま世の中全体的に言えることです。

「あなたは誰で、どこから来たのか」のような問いを、日本だけでなく世界中のビジネスパーソンが忘れている。デス・レースの忙しさの中で余白がなくなり、自己を、そして社会を見つめる時間がなくなっているのです。

文=石原龍太郎 写真=林 孝典

PICK UP

あなたにおすすめ

合わせて読みたい