先ごろ実現した米ウーバー・テクノロジーズの新規株式公開(IPO)は、2012年のフェイスブックと同水準の規模となった。IPO株の購入には、投資額が20倍またはそれ以上にもなり得るという特別な魅力がある。
破壊的な企業であることを早い段階で見極められれば、大儲けすることができるだろう。
ウーバーは間違いなく、破壊的な企業だ。
だが、同社への投資は、恐ろしい結果をもたらすことになると考えられる。それは、収益性が危険なほど低いためだ。上場申請書類よれば、同社の今年1~3月期の売上高は約30億ドル(約3280億円)だったものの、赤字はおよそ10億ドルに上っている。
米アマゾン・ドット・コムは創業から何年間か利益を出さず、7年後までに30億ドル近い赤字を出した。それでも上場後、株価はおよそ10万%上昇している。それを理由に、「ウーバーが今の時点で利益を上げていなくても、問題はない」と言う人もいるかもしれない。
アマゾンに初期に投資した人たちが、大儲けしたのは本当だ。アマゾンが1996年から2002年までに、およそ30億ドルの赤字を出したことも事実だ。
ただ、ウーバーは9カ月の間に、アマゾンが創業から7年の間に出した赤字を上回る金額を失っている。
さらに、ウーバーは「新しい」企業でもない。事業を始めたばかりのスタートアップが、成長のために利益を犠牲にするのは仕方がない。だが、ウーバーは起業からすでに10年が経過している。
ウーバーの問題は、同社の経営にかかる経費をカバーするにはとうてい不十分な料金しか乗客から受け取っていないことにある。
料金収入のうちおよそ80%が、賃借料や約1万6000人の従業員の給料といった固定費を支払う前に、運転手の報酬とそれに関連した経費に消えてしまうのだ。