儲けが出ることはない
赤字続きの企業は、「スケール」することで採算性を高めようとすることが多い。売上高が経費を上回るまで、拡大し続け、売る商品の数を増やし続けるということだ。この方法は、フェイスブックには有効だった。
同社は創業からの数年間は赤字を計上したが、2009年には利益を出すのに十分なだけの広告収入を得るようになった。
オンライン広告のプラットフォームを構築するには巨額の費用がかかったが、完成して稼動し始めれば、広告を売るためのコストはほぼ不要になる。経費は一定のまま、収入だけを増やすことができた。
一方、ウーバーのビジネスモデルは、そうした「ぜいたく」を認めるものではない。
経費のうち、金額が固定されているものがほとんどないためだ。テクノロジー関連のニュースが専門の米リコードによれば、ウーバーは利用者を1回乗車させるごとに、約1ドル20セントの赤字を出している。
つまり、ウーバーは逃れられない赤字のスパイラルに陥っている。投資対象としての魅力は、同社にはもうほとんど残されていない。初期の投資家たちが、得られるだけの利益をしぼり取っている。
(上場によって)ウーバーの時価総額は1000億ドルになるともいわれていたが、すでに「巨大」になり、過大評価された赤字企業のウーバーからは、IPO株の魅力は失われていた。
サービスは魅力的だが…
ウーバーは、何百万という人たちの生活を向上させてきた。フルタイムで働く運転手にはそこそこの生活ができるだけの収入を、パートタイムの運転手には副業収入を与えている。
また、乗客は低料金で、全般的にタクシーより快適なサービスを利用することができる。同社は運転手と利用者にとってのウィンウィンの関係を築いているということだ。だが、同社が投資家にもたらすのは、「損失」になると考えられる。