ビジネス

2019.05.15 06:00

ホテルと民泊の境界線があいまいに エアビーとマリオットの戦略


それでは、大きなホテルチェーンはこうした動きにどのように対応しているのだろうか? マリオットホテルのような一部の企業は同じやり方で対応し、ホームレンタル業を手掛けている。ホームズ・アンド・ヴィラズ・バイ・マリオット・インターナショナル(Homes & Villas by Marriott International)は今後、米国や欧州、カリブ海地域、南米にわたる100カ所の旅先で住宅2000軒を提供することになっている。

同サービスの導入は、欧州全土で2018年に行われた試験的なプロジェクトに基づくものだ。同社によると、試験では従来型のホテル滞在と比べて滞在期間が3倍になった。

ホームズ・アンド・ヴィラズのジェニファー・シェイ副社長は「当社のホームレンタル手法により、上質な旅体験を提供する素晴らしい住宅の数々を収集・整理することができる」と述べた。

「このダイナミックな状況を理解し、その中で活動しているえりすぐりの専門管理会社と協働することで、私たちは自分たちが最も得意なことに注力することができる。それは、わくわくするような旅先のさまざまな住宅を選び、迅速なサービスの基準を設定し、ますます複雑で不透明になるホームレンタルの選択肢から顧客がうまく宿泊先を探せるような円滑な予約体験を設計することだ」と語った。

興味深いことに、ホテルとホームレンタルの境界線があいまいになる中、顧客体験をけん引する要素は変わらない。それは、豪華でプレミアムで、カスタマイズできる体験ともてなしだ。古い企業というイメージを払拭(ふっしょく)したいホテルは消費者に対し、ブランド体験や信頼性(一時的で常に変化を続ける考えだ)をアピールしている。

一方ホームレンタル企業は、伝統的な宿泊施設に結びつけられる正当性と、高級な宿泊先としての地位を熱望している。

こうした2つのアイデアがどこで交差するのか、そして未来のホテルの部屋がどのようなものになるのかは現時点ではまだ分からない。

翻訳・編集=出田静

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