空港一つをとっても顔認識システムの利用方法は様々であるが、活用にあたって使用されるルールやプラットフォームが確立されていないのが現状だ。
認証された顔のデータはどこにいってしまうのか? 誤認証によるトラブルは誰が責任を取るのか? これらのような疑問が残ったまま、今回のアップルが提訴されるニュースが入ってきた。
顔認証技術は、ジョージ・オーウェルのSF小説『1984』に描かれている双方向通信による大衆監視社会のような世界を生み出してしまうのだろうか。技術の便利さが先行して広がる顔認証技術が、政府や警察、企業によって人々が気づかないうちに、生活の見張りや治安維持に使用されうることを今回の事件で再確認させられた。
顔認証ソフトウェアの開発側であるマイクロソフトのサティア・ナデラCEOも、「技術を生み出す企業の責任として、2019年こそ企業と政府が共に適切な技術仕様を目指してルールメイキングに取り組んでいくべきだ」と呼びかける。
東京五輪では、国外からサイバー攻撃により顔認証データをはじめとした情報が狙われる可能性を防ぎたいのはもちろんのこと、日本国内社会においても「情報を管理する」「情報で管理される」の二分化しないように監視される側として私たちも気を付けていきたい。
技術が確立されてきた中での国際イベントとあって新しいテクノロジーと人々のプライバシーの関係性にさらに注目が集まるため、日本の力試しの場となるだろう。