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2019.05.17 16:30

映画「翔んで埼玉」もヒット 埼玉が住みたい街として大躍進の理由

さいたま新都心(shutterstock.com)

今年2月公開の映画「翔んで埼玉」がロングランヒットを続けている。配給会社の東映によると、5月17日時点で動員人数は286万人、興収は37億円を突破したという。

本作は魔夜峰央の未完の漫画を映画化したファンタジー・コメディ。かつて埼玉県民は東京都民からひどい迫害を受けていたという世界観の下、東京都でトップの高校の生徒会長であり東京都知事の息子でもある美少年・壇ノ浦百美と、アメリカ帰りだが実は埼玉県出身という出自を持つ容姿端麗な転校生・麻美麗の二人が繰り広げた伝説の愛の逃避行と埼玉県解放のための戦いが、ユーモアたっぷりに描かれた作品となっている。

主人公の一人・麻美麗に歌手のGACKTを起用し、もう一人の主人公である壇ノ浦百美を女優である二階堂ふみが演じるなど、キャステォングにも大きな注目が集まった。だが、とりわけ話題を呼んでいるのが、「埼玉県民にはそこらへんの草でも食わせておけ!」という痛快なセリフに代表される、本作にふんだんに盛り込まれた埼玉県の“自虐ネタ”の数々だ。

しかし、かつて「ダサイタマ」とまで揶揄された埼玉県が近年注目を集めているのは、その“自虐キャラ”としての性格からだけではない。

京都、名古屋、神戸も抜いた…驚異の大躍進の秘訣とは?

2019年4月、「生活ガイド.com」は「全国住みたい街ランキング2019トップ100」を発表した。不動の1位は横浜市で、続いて世田谷区、港区が、それぞれ前回(2016年版)より順位を上げて2位、3位にランクインしている。

だが、このランキングで最も注目に値するのは、41位から6位へと大躍進を遂げたさいたま市だろう。これは大阪市と同位で、今回8位の神戸市や9位の名古屋市、また前回の2位から大きく順位を落として今回11位となった京都市よりも上位。違う調査に目を向けても、「SUUMO住みたい街ランキング2018」で、大宮(9位)と浦和(10位)がトップ10入りしている。

埼玉県の人気がここ数年で急上昇した背景として、2015年のJR上野東京ライン開通が考えられる。これにより、大宮駅・浦和駅から、もともと湘南新宿ラインが通っている渋谷・新宿方面に加え、東京・品川方面にも一本で行けるようになった。通勤・通学しやすい環境がさらに整い、ベッドタウンとしての需要が高まったのだ。

また、これらの主要駅前の再開発はどんどん進んでいる。例えば、「浦和パルコ」やコミュニティセンターなどが入っている浦和駅東口の「ストリームビル」はその事業の一環である。
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文=田山礼真

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