実はこの打ち合わせは、彼女が顧客から学ぶ機会でもある。
「私は、お客様が選ぶオプションからヒントを得、そのデータを活用して競合の一歩先を行き、次のコレクションを考案します」と言う彼女の顧客リストには、イアン・ソープのほかにも身長2.06メートルの豪バスケットボール選手ベルント・ヴォルチッチ、映画製作者ホミ・アダジャニア、『バーフバリ』で知られるラーナー・ダッグバーティ、インド代表競泳チャンピオンのレハン・ポンチャ、ホッケー選手サンディープ・シンなどもいる。
現在、ルパレル・グルワダは5人の職人とスタイリストのチームを抱える。革は、チェンナイとヨーロッパから仕入れている。
「私は技術を磨きたいんです。ヨーロッパにしょっちゅう行き、そこの工場で働いて、現場での経験を身に着けています。うちではミシン以外に機械を使いませんが、大量生産工場の流れも理解しておくことは重要ですから」
完全手作業の靴に芸術的な色を施す「古色」の技法を学んだのも、そうした出張での経験からだった。こうしたことすべてが、世界的名声を勝ち取るという彼女の目標へのステップだ。
「世界的に足跡を残した有名なアパレルデザイナーは非常に多くいますが、インド出身の靴製作者は1人もいないんです」と彼女は言う。
「私の夢は、その1人目になることなんです」
(原文)