www.forbesindia.com/

「アキレス・ヒール」が提供する多くのオプションのうちの1つ「フルブローグ」(レザーにパンチング穴を開けて装飾にしたもの)。

デザイナーのニラリ・ルパレル・グルワダ、32歳。インドのファッション市場における「メンズ用シューズのカスタマイズ」というニッチな市場を仕切っている。

2016年、リオデジャネイロオリンピックが幕を開けたとき、インドのとあるテレビ局が、世界のオリンピック選手たちとスポーツ専門のコメンテーターを集めたパネルディスカッション番組を企画した。

この時の出演者の1人に、あの伝説的競泳選手イアン・ソープがいた。番組のスタイリストは、彼のためにサイズ13(約33センチ)の靴を早急に用意する必要にかられた。迷わず駆け込んだのが、男性向け高級靴ブランド「アキレス・ヒール」の創立者兼CEO、ニラリ・ルパレル・グルワダだった。

ルパレル・グルワダは足型を取るため、ソープの足を6~8回に分けて測り、ただちに、グレーとブルー混紡のエスパドリーユ(靴底がゴムや縄製の、キャンバス地のサンダル)をカスタマイズする極めて微細な工程に入った。

人の価値の30%は「靴」で値踏みされる

インドの男性靴業界は特殊で、女性デザイナーの存在は極めて珍しい。

彼女がやっていることは、顧客一人ひとりの細かい要望に答える、「靴の完全オーダーメイドサービス」だ。彼女のウェブサイトでは、靴の形やデザイン、素材を選べるので、顧客は自分の好みで靴をデザインし、届けてもらうことができる。もちろん、デザイナーであるルパレル・グルワダ自身が顧客と直接会って話し合い、好みを理解してから足型を作る、究極のカスタマイズも可能だ。

彼女が靴に興味を持ったのが2011年、「アキレス・ヒール」を立ち上げたのが2012年。ルパレル・グルワダは、類い稀な集中力と強い意志で、これだけの短期間に多くのことを成し遂げた。

とはいえ、オーダーメイド・シューズ・ビジネス立ち上げまでは一直線ではなかった。そのキャリアは紆余曲折だらけだ。


創立者兼CEO、ニラリ・ルパレル・グルワダ。次に狙うのは世界進出だ。Image: Mexy Xavier

まず16歳の頃、彼女はインドの最大手フィットネスジムでのエアロビクスとスピニング(フィットネスバイクを使ったエクササイズ)の最年少インストラクターを務めていた。自分の学校へ行く前に、朝のクラスを教えていたのだ。

この頃には管理栄養士の資格を取って、母親とフィットネスと栄養食品のブランドを立ち上げるのが夢だったという。彼女の母親はフィットネスコンサルタントで、ヨガのインストラクターだ。

だがその後、彼女はマスメディアの教育を受け、『Hello!』誌のマーケティング広報部のアドバイザーとなる。そこでの仕事は写真撮影やスタイリング、ブランドの見せ方などと密接にかかわっていた。

さまざまなことが重なり、気づいたときには、クリエイティブな領域、とりわけファッション、中でも靴に興味を持つようになっていた。

「靴は、体の末端に着けるものなのに、ちょっとアンバランスなほどに人の目を引くアイテムです。しかも体の5%しか占めていないにもかかわらず、人を視覚的に評価する際の情報の、実に30%以上もを占めるのです」と彼女は言う。

文=BENU JOSHI ROUTH 翻訳=松本裕/株式会社トランネット 編集=石井節子

VOL.5

若くなるためには長い時間がかかる──「若さ」...

VOL.7

「職場のいじめ」問題につける薬

PICK UP

あなたにおすすめ

合わせて読みたい