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アパレルよりも遥かに大きい市場規模であるにも関わらず、生鮮食品市場は車関連市場と並びEC化率が低い。

その理由は、多い店舗で約3万点に及ぶアイテムからユーザーが商品を検索する手間にあると矢本はいう。献立と一緒に買うべき食材を提案するタベリーのユーザーは、何を買うか悩むことがない。

「タベリーが浸透すれば、限られた時間の中で、家族に栄養バランスのとれた食事を用意したい都市部のお父さんやお母さんが少し楽になるかもしれません。個人商店が減り、人口が集中するエリアにしか大型スーパーのない地方では、頻繁に買い物に行くことのできない高齢者が、商品探しの煩わしさから解放されるかもしれません」

矢本が起業前から志していた「人の役に立つものを、自らの手で作ること」が実現したようにも見えるが、将来的には食のインフラを構築したいという。

大手流通企業には、何がどれだけ売れたかという膨大なPOSデータがあるが、他社も含めた、何がどこで売れて、売れた商品がどう使われたかということは把握できていない。献立の提案から買い物リストの作成とネットオーダーまでを一括で提案するタベリーのデータを用いることで、日本全体の土地ごとに食品配達マップを作り、傾向を正しく測ることができるようになる。

そのマップを元に、配送を前提とした食のインフラを社会へ整備することを矢本は目指す。

現在、世界で食を取り巻く環境が大きく変化している。アメリカを中心に、動物細胞から肉を培養するクリーンミートや、植物から肉を作る代替肉、限られた土地で農作物を栽培する垂直農法など、これまでの食の常識を覆すような製品やサービスが各国で増えている。

矢本は10年後、これらのサービスが日本でも身近な存在になっていることを確信している。肉や作物を生む環境が制限されなくなれば、食の流通のあり方も大きく変わるだろう。

東北の震災で芽生えた「多くの人の役に立ちたい」という思いとともに、人生が進むフェーズごとに見つかる課題を全て解決してきた「元主夫」は、これからどれだけの課題を解決することが出来るだろうか。

文=守屋美佳

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