また、オリンピアのことを語る上で欠かせないのが、赤ちゃん人形「Qai Qai(クェイ・クェイ)」だ。人形にも関わらず、公式アカウントが存在していて、プロフィール文には「オリンピア親友」と書かれている。
投稿欄にはオリンピアと一緒に写真や、セリーナの試合の観客席に座っている写真などがある。セリーナはQai Qaiについて、「娘がどこにでも連れて行くので、引き離すのはとても大変」と語りながらも、「Qai Qaiと話している姿は可愛くて、見るのが楽しい」と語る。
Qai Qaiはセリーナだけでなく、オリンピアにも良い影響があるようだ。「あまり良いニュースが多くない世の中にハッピーなことをもたらしてくれた。娘はいつもポジティブで、前向きな言葉を使って話しかけている。それは素晴らしいこと」とセリーナは言う。
母親となった今も、現役としてプレーし続けているセリーナ。「テニスをしている姿を通じて、どんなことをオリンピアに教えたいか?」とスチュワートが聞くと、セリーナは「自信を持つこと」と切り出し、こう語り始めた。
「私は自信を持つことが何より重要だと思っています。自信を持っていたからこそ、私は数々の成功を成し遂げることができました。今の時代、成長していくのは簡単ではないですし、確実に成長する方法もわかりません。だからこそ、自分に自信を持つことが大切です。テニスをしている姿から自信を持つことを学んでもらえればと思います」(セリーナ)
メンバーからリーダーへ。お手本となったビーナスの存在
チームのコラボレーションツール「Slack(スラック)のカンファレンスに、セリーナ・ウィリアムズが登壇する──カンファレンス開催前にアジェンダを見たとき、「テニスは個人スポーツの側面が強いのに、なぜ登壇するんだろう?」と思ったが、セリーナにしてみればテニスも「チームスポーツに変わってきている」と言う。
「かつて、テニスは個人スポーツでしたが、今は完全にチームスポーツになっています。劇的に変わったのです。だから私は、リハビリを担当してくれたり、コーチングしてくれたりする人をいれてチームをつくりました。これはとても重要なことです」(セリーナ)
こうした変化によって、セリーナの役割にも変化が生じているという。彼女はチームのCEOとして、ビジョンを示し、目指すべきゴールを理解してもらえるよう強いリーダーシップが求められるようになった。
「チームで一丸となって働くためには同じ使命のもと、同じ目標を持つ。そして目標を達成するために優先すべきことを全員が把握しておく。それが重要なことだと思います。そのために私はオープンマインドでいることを心がけています。チームのメンバーが提案してきたアイデアはきちんと聞いて受け止める。批判はしません。そして、そのアイデアに対してポジティブなフィードバックを返す。そうすることでチームは一体感を持って前進し続けていくことができると思っています」(セリーナ)
とはいえ、セリーナは 5人姉妹の末っ子。これまでの人生で“リーダーとして何かする経験”はしてこなかった。どのようにして、リーダーとしての振る舞いを学んだのか?