2012年、金谷元気が経営するギャラクシーエージェンシーは、倒産の危機に瀕していた。期待していた新規事業が空振りに終わり、銀行回りも不発。役員の給与も止まった。
「終わる」
そんな時、金谷はふと立ち寄った本屋で、ある本と出会う。
そして彼は生還する。6500万円の資金調達を受けて、そこから自社サービスを開始。駐車場シェアリングサービスの先駆者となるサービスを生み出した。ギャラクシーエージェンシーという社名はもうない。ただ、「akippa」という会社で市場からの期待を背負い活動している。
そんな注目企業のCEOである金谷氏に「人生最高の一冊を教えてほしい」と問うと、二冊の候補が上がってきた。
何の知識もなかった私を、“リアルに”救った一冊
人生最高の一冊、と聞いて、すぐに何度も読み込んだサイバーエージェント社長、藤田晋さんの「渋谷ではたらく社長の告白」を思い出しました。が、あえて、偶然立ち読みした「資金調達完璧マニュアル」を選びます。
改めての紹介になりますが、私が経営するakippaは、現在は総額24億円の出資を受けて会員120万人のシェアリング系アプリを運営しています。ただ、2009年の設立時から5年ほどはずっと資金に余裕がありませんでした。
特に辛かったのは2012年あたり。余裕がそこまでない中で新事業をスタートした結果、資金が底をついてしまいました。
役員の給与をストップしたり、全くの未経験ながら大阪の約2000人収容のなんばHatchというライブハウスでアイドルイベントを主催したりとなんとかつないでいました。
銀行回りをしても全くうまくいきませんでした。設立間もないですし、決算書もぼろぼろ。どこに行っても相手にしてもらえませんでした。そんな時、途方にくれて本屋へ向かったら1冊の本に出会ったのです。
それが『資金調達マニュアル』です。基本的には銀行との付き合い方などが載っている本でしたが、「資金が緊急の時にどうするか?」という部分に発見がありました。
24億円調達の足がかりが生まれる
当然、ノウハウ本なので、私の心を奮い立たせた良い言葉とか、そういうのはありません(笑)。
ただ、そこで『ベンチャーキャピタルから調達する』という一文が自分の中の新たな希望になったのです。恥ずかしながら当時は、「ベンチャーキャピタルって何?」という状態でした。
ただ、ベンチャーキャピタルについて読み進めていくと、「現状を見るより将来性にかけてくれる」ということが書いてあり、なぜか「将来性だけはあるし、これにかけてみよう」と思ったんですよね。なんでその状況でそんな自信があったのかは謎ですが(笑)。