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3つ目の教訓は、今抱えている問題が実は隠れた解決策かもしれないということ。逆説的だが、メリーランド州とバージニア州の強みは、成長の速度が比較的遅く、まさにアマゾンが求めていた才能ある技術系人材の多くが他地域(特にカリフォルニア州北部)に流出していることだったのかもしれない。だが、同地域にはいまも優秀な人材が十分残っている。こうした人材が必要としているのは、地元にとどまるべき理由だ。

人材流出の長期的解決に貢献することで、アマゾンはコミュニティーに対する自社の価値を高められ、地元の自治体や市民団体と強固で長期的なパートナーシップを築ける可能性が高まる。地域に大きなニーズがあり、そのニーズを埋める固い決意があれば、アマゾンは大いに歓迎されるはずだ。

バージニア州でもニューヨーク州と同様、再開発による地域高級化の懸念に基づいた反発はあった。しかし、ロングアイランドシティーではコミュニティーの根が深くアイデンティティーと密接に関わっているため、一般市民の反発と草の根レベルでの抵抗という点ではバージニア州とは比較にならない。

クリスタルシティーは、経済のよりどころだった近隣の軍事施設が閉鎖された2005年以降、衰退傾向にあった。2008年の金融危機により状況は悪化し、現在は商業施設の空きが目立っている。アマゾンは大歓迎されていると感じるはずだ。

4つ目の教訓は、既に持っているリソースを活用するということ。テック系スタートアップの投資・顧問企業アンプリファイアー・ベンチャーズ(Amplifier Ventures)の創業者でマネジングディレクターのジョナサン・アバーマンは、バージニア州が持つ人材は、アマゾンの到来により地元に残るだろう技術系人材だけではないと指摘。「私たちの地域の労働者には、政治や公共政策に精通し、戦略的成長を理解する管理職クラスの人材も含まれている」と語る。

アバーマンが指摘するように、アマゾンがメリーランド州・バージニア州に関心を持ったことは、同社がこの地域の技術系以外の人材にも関心を寄せていることを示している。アマゾンがシアトル本社を第2本社でも再現しようと思っていたならば、テック系地域として確立された都市に限定して候補地を探しただろう。アマゾンがコミュニケーションや法律、政府関係などの多様なスキルを求め、必要としていることは明らかだ。

5つ目の教訓は、ナラティブを変えるということ。首都ワシントンが今でもただのカンパニータウン(企業城下町)として認識されていたならば、メリーランド・バージニア地域はこの競争に勝てなかっただろう。同地域は、第2本社の建設地に選ばれたことで革新を起こすコミュニティーとしての地位を確立させたかもしれないが、アバーマンによると、認識の変化はアマゾン誘致活動のはるかに前に始まっていた。

今回の決定に至った背景には、バージニアとアマゾンの双方に長期的な考えがあった。バージニアのビジネスリーダーらは、アマゾン以外にもあらゆる分野の企業を引きつけ維持するため未来世代の教育に大きな投資をしていたし、アマゾンの方は、非常に多様で、多くの専門分野を網羅した場所としての未来を鋭く予期していたのだ。

編集=遠藤宗生

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