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アマゾンの第2本社誘致に成功したバージニア州クリスタルシティ(Joseph Gruber / Shutterstock.com)

アマゾン・ドット・コムは昨年11月、同社の「第2本社」をニューヨーク州ロングアイランドシティーとバージニア州クリスタルシティーに分割して建設すると発表した。ニューヨーク州は新たな雇用1件につき4万8000ドル(約530万円)相当の税額控除を提示した一方、バージニア州は雇用1件につき2万2000ドル(約240万円)の現金による助成金に合意したと報じられている。

同じものに他人の倍以上の金額を払いたい人などいない。ニューヨークでは草の根の反対運動が巻き起こり、アマゾンはより友好的な環境を探すためこの案を白紙撤回した。この点は、バージニア州に勝利をもたらした戦略が浮き彫りにしているいくつかの教訓のカギとなるものだ。

1つ目の教訓は、税額控除など金銭的優遇措置は一要素でしかないということ。アマゾンのような企業にとって重要なのは、より大きな文化的力関係だ。だとすれば、常にインセンティブが低い州であったバージニアは有利だった。

同時に、バージニアの勝利はバージニア以外にも影響するものだ。アマゾンの意思決定者には最初から、ある強力なメッセージが伝えられていた。それは、同地域で第2本社の候補地となっていた首都ワシントン、メリーランド州モンゴメリー、バージニアはゼロサムゲームを争っているわけではないということ。つまり、アマゾンが3カ所のどれかを選べば、全ての地域のリソースを享受することができ、逆に候補の3都市はどれが選ばれても巨大な経済的恩恵を享受できる。

同地域の27の主要な雇用主・起業家で構成されるワシントン都市圏パートナーシップ(Greater Washington Partnership)のジェーソン・ミラー最高経営責任者(CEO)は「過去には、さまざまな機会をめぐって地域内で激しく争った結果、全地域が機会を逃してしまうことが多かった」ものの、「今回は、より大きな集団での政治的意思を持つことで成功した」と語った。

2つ目の教訓は、シリコンバレー型モデルが全てではないということ。確かにアマゾンはハイテク企業だが、だからといって、地域のベンチャーキャピタルの数や米国立衛生研究所(NIH)の近さを理由に決断を下すわけではない。「大事なのは資産を持っているだけでなく、ハブであることだ」とミラーは指摘している。ハブになるためには、すぐに雇用可能な人材が十分存在し、その雇用のため未来の世代を訓練する固い意志が必要だ。

バージニア州政府は、今後20年でテック教育に10億ドル(約1100億円)以上を投じ、コンピューターサイエンス関連学位の取得数を2万5000~3万ほど増やすことを計画している。バージニア工科大学はイノベーションに特化した新たな大学院のキャンパスを建設中で、ジョージ・メイソン大学もテック系のプログラムを拡大している。

編集=遠藤宗生

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