World Restaurant Awards審査員


メニューは、セヴィーチェ、サラダ、巻き寿司、酢の物、握り寿司、タコス、麺、メイン、デザートという構成で、アラカルトで好きなように選ぶ形だ。タコスがあるのは、ルファンシェフがメキシコ出身のためだ。

タコスは、本場の手法では原料のトウモロコシの粉をアルカリ化する必要がある。そのため日本やアメリカでは、より簡単な小麦粉を混ぜたものが広く流通しているが、ここではルファンシェフが自ら、農園を営んでいた祖父直伝の手法でタコスをつくっている。

それも当然、トウモロコシの粉だけを使ったグルテンフリーのものだ。アルカリ化には、通常石灰の粉を使うが、バリ島らしく、ココナッツの殻の灰を使っている。具材は、伝統的な牛タンを使ったものから、ヴィーガンのゲストにも対応できる、リゾート内で栽培しているキノコを使ったスモーク・マッシュルームまでと幅広い。


本場のタコスは実はグルテンフリーだ

また「ゼロ廃棄」の観点から、バリ島北部で行われている真珠養殖の真珠貝の身を使った酢の物なども提供している。真珠貝の身は初めて食べたが、小柱のような味わいで、確かに廃棄してしまうのは惜しい食材だ。そのほか、自家農園で育てた新鮮なトマトのサラダもある。

健康面から考えても、自家農園や地元の食材を使うのは、輸送に関わる二酸化炭素の排出量が少ないだけでなく、新鮮で栄養価が高く、保存料なども不要なため、食べる側にとってもメリットが大きい。こうしたこだわりの食材で、健康的になるだけではなく、料理をより美味しくする手法も考えられている。

例えば、メインの「チキン・ミソ・アンド・プロバイオティクス」という料理は、ケフィア菌を使って、レクチンの少ないココナッツミルクでヨーグルトをつくり、同じく発酵食品である味噌を混ぜた漬け地に、鶏肉をひと晩漬け込んで焼き上げる。ヨーグルトと味噌の力で、まろやかさや香ばしさが味わいに加わるだけでなく、肉が柔らかく仕上がるのだという。


「チキン・ミソ・アンド・プロバイオティクス」程よいスパイシーさが、甘辛く香ばしい鶏肉とよく合う

甘辛い味噌の味がしみた鶏肉に、生姜やブルージンジャー、キャンドルナッツ、パームシュガーなどを加えたバリ風の調味料「ブンブ」で煮込んだパイナップルのカレーを合わせるなど、バリ島ならではの味わいに仕上げている。

デザートは、ツリートマトを使ったクレームブリュレ。トマトは、南米原産の食材だが、実はインドネシアでの栽培も盛んで、一般的に食べられているのだという。クリーミーなブリュレに、ツリートマトの酸味がアクセントになっている。

もうひとつのレストランである、オールデイダイニングの「ロカ」では、地元の南バリ料理、東バリ料理など、バリ島のなかにあるバラエティに富む豊かな地域料理を中心に提供している。


「ロカ」のバリ地方料理

文・写真=仲山今日子

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