英調理ロボット「カラクリ」が10億円調達、食品分野に革新

英国のオンライン専業スーパーマーケットの「オカド(Ocado)」のデリバリートラック(Andriy Blokhin / Shutterstock.com)

英国のオンライン専業スーパーマーケットの「オカド(Ocado)」が同社としては初の、ロボティクス分野のスタートアップへの出資を行った。オカドはカラクリ(Karakuri)と名乗る企業の、900万ドル(約9.9億円)の資金調達を主導したと5月9日、アナウンスした。

カラクリは日本語で「メカニズム」を意味する。同社は複数のアイテムを選別可能なロボットアームを開発した。このマシンは愛着を込めてマーリー(Marley)と呼ばれている。マーリーは複数のアイスクリームを組み合わせるなどの複雑な動作が可能だ。

オカドは英国のエンジェル投資家を束ねる「ファウンダーズ・ファクトリー(Founders Factory)」に参加しており、そこで野心的なプランを描くカラクリ創業者のSimon WattとBarney Wraggらに出会った。オカドはカラクリの技術によって、持ち帰り食品分野に革命をもたらそうとしている。

カラクリ以上に先進的なテクノロジーを誇るロボットとしては、10秒毎にメニューを送り出せる「DK-One」と呼ばれるマシンも知られている。

「ロボティクスとマシンラーニングの組み合わせにより、カラクリは既存のレストランや食品スーパーらに、ローカライズされた自動化キッチンを提供する」と、カラクリCEOのWraggは話した。

「当社のシステムは顧客の要望に応じ、パーソナライズされたメニューをその場で調理可能だ。同時に、食品のロスを減らし包装や物流にかかるコストを抑え、環境に優しい事業モデルを実現する」

オカドは620万ドルをカラクリに出資するのと引き換えに18%の株式を入手し、取締役会に幹部を送り込む。

「当社はカラクリへの出資が、食品分野のゲームを変えることになると信じている。新たなイノベーションは当社の顧客だけでなく、パートナー企業のメリットにもつながる」と、オカドCEOのTim Steinerは述べた。

今回の出資にはHoxton VenturesやFirstminute Capital、Taylor Brothersらも参加した。オカドは2019年後半からカラクリのマシンを導入する計画だ。

2000年に生鮮食品のオンライン販売を開始したオカドは、2016年に14億ドルの売上を記録していた。同社は2018年5月に米食品チェーン2位の「クローガー(Kroger)」と提携し、自動化物流センターの整備を支援している。

編集=上田裕資

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