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トヨタ e-Palette コンセプト

交通分野で最新のバズワードとなったのが、「マイクロモビリティ」という用語だ。自動車よりもコンパクトで小回りが利き、環境に優しい地域の足となる車両というのがこの言葉の本来の意味だが、その代表例にあげられる電動キックボードは、世界各地で放置車両や事故などの問題を引き起こした。

数千台のシェア自転車や電動キックボードを混雑した都市部に配備しても、魔法のように渋滞が消える訳ではない。マイクロモビリティを効果的に導入するためには、事前のリサーチや入念な都市プランが必要だ。

そんな中、自動車メーカーのトヨタが米国ボストンのバブソン大学と連携し、モビリティ分野の課題解決に向けたプログラムを始動させた。トヨタ・モビリティ基金(TMF)はバブソン大学に200万ドルを提供し、都市のモビリティの課題を解決する試みを開始する。

都市交通の課題としてあげられるのが、配車サービスの台頭が生んだ渋滞の悪化や、低所得層の人々が利用しやすい移動ツールが不足していることだ。サンフランシスコやニューヨークにおいては、ウーバーが始動した2010年以降、都市部の渋滞が激しくなったことが最新の調査で判明している。

一方、デトロイトでは都市住民の30%から40%が銀行口座を持たない貧困層であるというデータもある。

トヨタの豊田章男CEOがMBAを取得したバブソン大学は、起業家教育に特化した大学で、アントレプレナーシップの分野で世界的に高い評価を得ている。都市のモビリティが抱える課題を、経済的に持続可能な形で解決し、有意義な効果をもたらすためには、多くのイノベーティブな発想が必要だ。

ここ10年足らずの間に急速に普及した配車サービスは、タクシー業界を破壊し都市交通に一定の変化を与えたが、この分野の企業は収益化を果たせていない。ウーバーとリフトは上場申請書類で、今後の収益化の見通しが示せないことをリスク要因にあげていた。

都市から渋滞をなくし、安全でエネルギー効率が良く、誰にでも利用可能な新たなモビリティを実現するために必要なのは、単なる配車アプリを超える、革新的なアイデアだ。

バブソン大学は今年の秋から新たなカリキュラムを始動させ、21世紀の都市交通が抱える課題の解決に取り組んでいく。トヨタとハブソン大学は今後の2年間で多岐にわたるアイデアの開発とテストを行う。地方行政とも連携し、一部の都市でパイロットプログラムも実施する。

この取り組みによって、既存のモビリティ分野のイノベーションを超える、新たな革命が始まることを期待したい。

編集=上田裕資

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