グローバルなアフリカから学ぶ「多様性」
主に黒人が主導するアフリカ系の文化は常に脆弱的な立場に置かれており、「文化盗用(cultural appropriation) 」の議題は無視できない。最近の一例では、グッチが「ブラックフェイス」を想起させるセーターの販売で非難を浴び、同製品が販売中止となった。
その後グッチは組織としてさらに多様性教育を推進すべく、2019年2月に「グッチ・チェンジメーカーズ」のプログラムを発表した。プログラムには、ガーナ・アクラ、ナイジェリア・ラゴス、ケニア・ナイロビ、南アフリカ・ケープタウンといったアフリカ拠点を含む、世界のデザイン学校と提携した奨学金プログラムや、多様な人材の採用といった内容が盛り込まれている。
日本でも過去にテレビ番組などにおける「ブラックフェイス」の問題が議論となったようだが、無知から来るミスが世界各地で起こり続けている。より多くの企業や人々がアフリカを知り、訪れ、その中における多様性や黒人主導の文化に当たり前に触れ、アフリカ発の文化が世界に浸透していくことは、こうした無知や誤解を減らすことにつながるはずだ。
ラゴスファッションウィークで発表されたAsiの新作(2019年4月21日撮影、Getty Images)
ナイジェリア・ラゴスでハイエンドなセレクトショップ、アララ(Alara)を展開するナイジェリア人起業家のレニ・フォラウィヨは、「アフリカ自体がグローバル」だと断言する。アララは、サンローランのような欧州ラグジュアリーブランドと、南アフリカブランド、ラデュマなど、世界各国のラグジュアリーを展開する。
店舗の入る建物は、世界的に活躍するタンザニア出身の建築家デイヴィッド・アジャイが手がけ、NY在住のセネガル人シェフのピエール・チーアムがプロデュースするレストランも入居する。アフリカ人主導のクリエイティブな未来を象徴する「アフリカン・ルネサンス」が空間コンセプトだ。
アフリカン・ルネサンスは、アフリカ人だけの文化運動ではなく、世界が多様性を学び、無知によるミスを回避するための教育の機会なのかもしれない。
旅から読み解く「グローバルビジネスの矛盾と闘争」
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